事業再構築補助金は医療機関でも活用できるのか、法人格ごとの対象要件や対象事業の考え方を平易に解説します。交付までのつなぎ資金対策も紹介します。
この記事でわかること
- 事業再構築補助金に医療機関が応募できる条件や法人格の区分
- 医療機関において補助対象として認められる事業の考え方
- 補助金の交付決定から入金までの資金繰りを維持する現実的な方法
事業再構築補助金とはどのような制度か
事業再構築補助金は、思い切った事業転換に挑戦する事業者を後押しする国の支援制度です。中小企業庁が公募要領を定めており、ポストコロナの環境変化に対応するための投資を支援しています。
補助金の対象となる類型には、新分野展開や業種転換、事業再編などが用意されています。新分野展開とは、かんたんに言うと「今までの事業を続けながら、新しい製品やサービスで新しい市場を狙う取り組み」のことです。
設備投資や建物の改修費など、事業に必要な多くの経費が補助の対象に含まれます。ただし、どのような事業者でも無条件に申請できる制度ではありません。法人の形態や事業内容によって、対象になるかどうかが細かく分かれています。
医療機関は事業再構築補助金の対象になるか
結論からお伝えすると、一般的な医療法人は対象外となる場合が多く、個人開業医や一部の法人が対象です。医療機関が応募できるかどうかは、開設者の法人格によって大きく異なります。
中小企業庁が公募要領で定める中小企業者の定義には、医療法人は直接含まれていません。ただし「中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人」として、法人税法別表第二に掲げる社会医療法人は対象と明記されています。
一方で、出資持分の有無にかかわらず、通常の社団医療法人や財団医療法人は対象外となる運用が続いています。過去には誤採択の事例もありましたが、現行の運用では厳格に確認されています。
個人で開業している診療所や歯科医院の院長先生は、個人事業主として申請の対象になり得ます。個人事業主であれば、中小企業基本法で定められた小規模事業者や中小企業の枠組みに当てはまるためです。自院の開設形態が要件に合致しているかを、まずは確認することが大切です。
対象となる事業と認められない事業の考え方
医療機関が事業再構築補助金を活用する場合、既存の保険診療を単に拡大する取り組みは対象になりません。公的医療保険から診療報酬が支払われる事業に補助金を出すと、二重の公的支援になってしまうためです。
中小企業庁の公募要領でも、公的制度からの二重受給にあたる事業は補助の対象外と定められています。そのため、日常の保険診療で使う一般的な内視鏡や電子カルテの更新などは、補助金の対象になり得ません。
対象事業として検討できるのは、自院の強みを活かした自費診療部門の開設や、健康増進ビジネスなどです。たとえば、自由診療専門の美容皮膚部門の立ち上げや、メディカルフィットネスの併設などが挙げられます。自由診療とは、かんたんに言うと「健康保険を使わず、患者さんが全額を自己負担して受ける医療や検査」のことです。
また、近隣の高齢者施設に向けた食事指導サービスや、オンラインを活用した自費健康相談なども検討の余地があります。既存の枠組みにとらわれず、新しい付加価値を生み出す計画を作ることが採択への必須要件です。
申請から採択・受取までの流れと注意点
事業再構築補助金を受給するまでには、いくつかの段階を踏む必要があり、かなりの期間を要します。最初の関門は、認定経営革新等支援機関と一緒に実効性の高い事業計画書を作成することです。認定経営革新等支援機関とは、かんたんに言うと「国から専門的な知識を認められた税理士や金融機関」のことです。
計画書を電子申請で提出した後は、外部の有識者による審査が行われ、採択結果が通知されます。採択されたあともすぐにお金がもらえるわけではなく、交付申請という手続きを経て交付決定を受けます。
交付決定の通知を受けてから、ようやく建物の改修工事を発注したり、高額な医療機器を購入したりできます。交付決定前に契約した費用は補助対象にならないルールですので、発注の時期には細心の注意を払わなければなりません。
事業が完了したあとに実績報告書を提出し、国の確定検査を受けてようやく補助金が振り込まれます。申請の準備から実際に入金されるまで、1年以上かかるケースも珍しくありません。
補助金事業に伴う資金繰りの壁と対策
事業再構築補助金の大きな特徴は、全額が「後払い(精算払い)」である点です。補助金を受け取るためには、まず自己資金や金融機関からの借入によって、事業費用の全額を支払う必要があります。
たとえば3,000万円の設備投資を行う場合、最初に3,000万円の現金を自院で用意して支払わなければなりません。その後に検査が行われ、補助率に応じた補助金が戻ってくるまで、数ヶ月から半年のタイムラグが生じます。
この期間に他の運転資金が不足すると、毎月の給与支払いや医薬品の決済に支障をきたす恐れがあります。金融機関に追加の融資を申し込んでも、審査に時間がかかったり、担保の提供を求められたりすることがあります。
補助事業に伴う一時的な資金不足を乗り切る手段として、診療報酬債権の買取(ファクタリング)が役立ちます。当社サービスは借入ではなく、2ヶ月後に入金される診療報酬という資産を売却して現金化する仕組みです。
金融機関からの融資とは異なり、担保や保証人は不要で、ご契約後最短3営業日で口座に入金されます。補助金が入金されるまでのつなぎ資金として活用すれば、本業の資金繰りを安定させながら新規事業を進められます。手数料等の具体的な試算は 診療報酬買取のシミュレーター でもご確認いただけます。
参考事例
※想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
地方都市で個人経営の内科クリニックを営むA院長は、生活習慣病の予防を目的とした運動療法施設の開設を計画しました。事業再構築補助金の交付決定を受け、改修工事とトレーニング機器の購入で3,000万円を先行して支払いました。
しかし、補助金が振り込まれるまでに約5ヶ月の期間を要することになり、手元の運転資金が一時的に減少しました。毎月の医薬品仕入れ代金とスタッフの賞与支払いが重なり、資金ショートの不安が生じたため、当社サービスを活用されました。
Aクリニックでは、翌月に入金予定だった保険請求額1,000万円の診療報酬債権を当社に譲渡しました。
- 債権額:10,000,000円
- 前払い額(掛け目90%):10,000,000円 × 90% = 9,000,000円
- 買取手数料(3%):10,000,000円 × 3% = 300,000円
- 残金(国保連等からの入金後):10,000,000円 − 9,000,000円 − 300,000円 = 700,000円
- 受取合計額:10,000,000円 × 97% = 9,700,000円
ご契約から3営業日後に900万円が口座へ入金され、賞与と仕入れ代金を滞りなく支払うことができました。後日、社会保険診療報酬支払基金から当社へ入金があった段階で、残金の700万円も無事に受領されています。
その後、国の確定検査を終えて補助金が無事に入金され、Aクリニックは経営の安定を維持しながら新事業を軌道に乗せました。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
事業再構築補助金は、個人クリニックや社会医療法人が新しい事業領域へ踏み出すための有効な支援策です。ただし、通常の医療法人は対象外となるほか、既存の保険診療には利用できないなどの制限があります。
補助金は後払いで支給されるため、設備投資にかかる多額の初期費用を一時的に自院で立て替える必要があります。入金までのタイムラグによって運転資金が不足し、本業の運営に影響が出ないよう事前の資金計画が欠かせません。
金融機関からの融資が間に合わない場合や枠を温存したい場合は、診療報酬債権の早期現金化が心強い選択肢となります。当社サービスは債権の売買であり、負債を増やすことなく最短3営業日で資金調達が可能です。資金調達の費用や契約内容について詳しく知りたい方は、手数料と利用条件の案内 をご覧いただくか、無料の相談窓口 までお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q. 一般的な医療法人社団ですが、事業再構築補助金に応募できますか?
A. 現行の公募要領では、一般的な医療法人社団や財団は中小企業者等の対象に含まれていません。応募が認められている医療法人は、法人税法別表第二に該当する社会医療法人のみとなっています。ただし、個人で開業されているクリニックであれば、個人事業主として申請することが可能です。
Q. 補助金が入金されるまでのつなぎとして、ファクタリングを使うことは可能ですか?
A. はい、補助金が入金されるまでの運転資金対策として、多くの医療機関でご活用いただいております。当社サービスは保険請求額の最大6ヶ月分までを買取上限としており、資金使途に制限はございません。事業の実態に応じて審査を行い、最短3営業日で資金化いたします。
Q. 診療報酬のファクタリングを利用すると、患者さんや取引先に知られてしまいますか?
A. 患者さんや医薬品卸などの取引先に知られることはありません。当社は社会保険診療報酬支払基金や国保連に対して債権譲渡通知を行う「3者間方式」を採用しています。窓口の患者さんや取引銀行に利用が知られる仕組みではありませんので、安心して事業に専念していただけます。
Q. 買取手数料には消費税がかかりますか?
A. 診療報酬債権の買取手数料は、消費税法上、非課税取引として扱われます。そのため、手数料に消費税が加算されることはございません。当社の手数料率は3%からとなっており、事前の無料お見積りにて明確な金額を提示いたします。
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