金融庁の「ファクタリングの利用に関する注意喚起」をもとに、偽装ファクタリング(実態は貸付け)や悪質業者を見分ける5つのチェックポイントを医療機関向けに解説。契約書・手数料・会社情報・広告表現・相談先まで、やさしく整理します。
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診療報酬が病院に届くのは、診療から、およそ二ヶ月後。 賞与も、設備の更新も、その二ヶ月を待ってはくれません。 その二ヶ月分を、私たちが先にお支払いします。借入ではなく、債権の売却です。 手数料は三パーセントから。ご契約後、最短三営業日でお受け取りいただけます。 医薬品も、人材も、施設管理も。病院を支えてきた私たちが、資金繰りも、お支えします。
「ファクタリング」と検索すると、たくさんの業者が出てきます。その中には、名前はファクタリングでも実態は高い金利の貸付けだったり、契約内容をきちんと説明しなかったりする業者が混ざっていることがあります。この記事では、金融庁の「ファクタリングの利用に関する注意喚起」をふまえ、医療機関が契約前に確認したい5つのチェックポイントを整理します。
この記事でわかること
- 金融庁が注意を呼びかけている「偽装ファクタリング」とはどんなものか
- 契約前に確認したい5つのチェックポイント(契約書・手数料・会社情報・広告表現・進め方)
- 不安なときの相談先と、当社がどう対応しているか
金融庁が注意喚起している「偽装ファクタリング」とは
ファクタリングとは、かんたんに言うと、売掛金などの債権(お金を受け取る権利)を業者に売って、入金より先に現金を受け取る取引です。診療報酬債権の売却もその一つで、本来は借入ではなく「売買」です。
金融庁は「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の中で、ファクタリングの形をとっていても、経済的には貸付けと同じ働きをしている取引は、貸金業に該当するおそれがあると説明しています(出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」)。具体的には、次のような場合です。
- 回収できなかったとき、売主が債権を買い戻す契約になっている(買戻し特約)
- 売主が、支払元の代わりに自分のお金で業者に支払う義務を負っている
- つまり、業者が債権の回収リスクを負っていない
こうした取引は、名前はファクタリングでも中身は貸付けです。貸金業の登録を受けずに貸付けを行うことは違法で、中には高額な手数料を取るヤミ金融業者が「ファクタリング」を名乗っているケースもある、と金融庁は注意を促しています。
たとえるなら、「この品物を買い取ります」と言いながら、「売れなかったら同じ値段で引き取ってね」と約束させるようなものです。それは買い取りではなく、品物を担保にお金を貸しているのと変わりません。
5つのチェックポイント
チェックポイント1:契約書は「債権の売買」になっているか
最初に見るべきは契約書の性質です。確認したいのは次の点です。
- 契約のタイトルや条文が「債権譲渡契約」「売買契約」になっているか
- 償還請求権(支払元が払わなかったとき、売主に請求できる権利)が「なし(ノンリコース)」と明記されているか
- 買戻し義務・買戻し特約がないか
- 売主が支払元の代わりに支払う義務を負う条文がないか
償還請求権とは、かんたんに言うと「回収できなかったら、あなたが代わりに払ってください」と売主に言える権利です。これが付いていると、業者はリスクを負わず、実態は貸付けに近づきます。当社の契約は、償還請求権なし(ノンリコース)・買戻し義務なし・担保保証人不要の債権売買契約で、当社は貸金業者ではありません。
チェックポイント2:手数料の「定義」と「総額」が明確か
手数料そのものに法律上の上限はありません。だからこそ、「何に対する何%か」「結局いくら払うのか」を契約前にはっきりさせることが大切です。
- 率は「債権額」に対するものか、「前払い額」に対するものか
- 1回あたりの率か、月率・年率か(月率なら、入金までの月数を掛けた額が実際の負担)
- 事務手数料・調査料・出張費など、別の名目の費用が後から加わらないか
- 見積書に、率・金額・入金予定日・残金の精算時期が書かれているか
数字で見てみましょう。請求額1,000万円・1ヶ月分を売却する場合、「債権額に対して3%」なら手数料は 1,000万円 × 3% = 30万円 です。一方、「月率3%」で入金まで2ヶ月かかる取引なら 1,000万円 × 3% × 2ヶ月 = 60万円 と、同じ「3%」でも倍になります。率の定義をそろえて比べてください。ご利用条件・手数料に、当社の計算式と精算例を載せています。
チェックポイント3:会社情報と説明責任
安心して取引できる業者かどうかは、会社としての姿勢に表れます。
- 商号、本店所在地、代表者名、電話番号がWebサイトや契約書に明記されているか
- 問い合わせたときに、担当者が仕組み・手数料・手続きを筋道立てて説明できるか
- 通帳やキャッシュカード、実印を「預かる」と言われないか(これは絶対に避けてください)
チェックポイント4:広告表現が「うますぎ」ないか
広告や営業トークの言葉づかいも、業者の姿勢を映します。次のような表現は注意のサインです。
- 「審査がない」「どんな医療機関でも必ず通る」といった、審査の存在を否定する表現(債権の売買でも、支払元の確認や本人確認などの審査は通常あります)
- 「業界で一番安い」「利用者数が最も多い」など、根拠の示されない最上級の表現
- 「医師会が推奨」など、公的な団体のお墨付きを思わせる表現(日本医師会が特定の業者を推奨した事実は確認できません)
- 「支払基金・国保連には通知しない」「どこにも知られない」という表現(診療報酬債権の売却では、支払基金・国保連への債権譲渡通知が制度上の通常の手続きで、通知しない取引はむしろ医療機関側のリスクが高くなります)
当社は審査があり、手数料は3%〜(条件により変動)でお見積りに明示します。通知の考え方は債権譲渡通知の記事をご覧ください。
チェックポイント5:契約の進め方に無理がないか
最後は、契約までの進め方です。
- 見積書の内容と契約書の内容が一致しているか(率・金額・入金日が違っていないか)
- 契約を「今日中に」と急がせていないか
- 分からない条文を質問したとき、きちんと答えてくれるか
- 解約や終了の条件が契約書に書かれているか(事業者間の取引にはクーリングオフの制度はありません。「あとで取り消せる」と説明されたら要注意です)
参考事例:契約書を読み比べて気づいたF医院(想定)
※想定事例です。実在の医療機関ではありません。
背景:F医院は個人開業医で、月の保険請求額は約800万円。ボーナス月の資金を確保するために、診療報酬債権1ヶ月分の売却を検討し、2つの業者から見積りと契約書の案を取り寄せました。
やったこと:院長はチェックリストを手元に置いて読み比べました。一方の業者(想定)の契約書には、「支払元からの入金が不足した場合、売主は不足額を業者に支払う」という条文があり、見積りは「月率2.5%」と書かれていました。質問しても「形式的なものです」と説明が曖昧だったため、院長は契約を見送りました。もう一方は、償還請求権なし・買戻し義務なしが明記され、手数料は債権額に対する率で、通知書の案も事前に見せてもらえました。
数字(手数料の定義の違い):
- 月率2.5%・入金まで2ヶ月の場合:800万円 × 2.5% × 2ヶ月 = 40万円(さらに「売主が不足額を支払う」条文で、実態は貸付けに近い)
- 債権額に対して3%の場合:800万円 × 3% = 24万円(消費税非課税)。前払い 800万円 × 90% = 720万円、残金 800万円 − 720万円 − 24万円 = 56万円(支払基金・国保連の入金後に精算)
結果:院長は後者で契約し、前払いをボーナスの支払いに充てました。「安いかどうか以前に、契約書の条文を読むことの大切さが分かった」と振り返っています(想定)。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
不安なときの相談先
契約前に少しでも不安があれば、第三者に相談してください。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811(ファクタリングを装った違法な貸付けに関する相談窓口としても案内されています)
- 顧問弁護士・顧問税理士
- 警察の相談専用電話:#9110(脅しや取り立てなど、身の危険を感じる場合)
当社の契約書・見積書・通知書の案は契約前にすべてお見せしますので、顧問弁護士や税理士と一緒にご確認ください。よくあるご質問にも、契約・法務に関するQ&Aをまとめています。
まとめ
見分けるポイントは、①契約書が償還請求権なし・買戻し義務なしの「債権売買」か、②手数料の定義と総額が明確か、③会社情報と説明が明確か、④広告表現がうますぎないか、⑤契約の進め方に無理がないか、の5つです。金融庁の注意喚起が示すとおり、業者が回収リスクを負わない取引は貸付けに該当するおそれがあります。契約書を読み、質問し、納得してから進めてください。当社は、償還請求権なし(ノンリコース)・買戻し義務なしの債権売買契約で、審査があり、支払基金・国保連へ通知する3者間方式で運営しています。ご不明な点はお問い合わせからご相談ください。
よくある質問
Q. 手数料が安ければ安全な業者と考えてよいですか?
A. 率の安さだけでは判断できません。率の定義(債権額か前払い額か、1回か月率か)や別名目の費用で、実際の負担は変わります。契約書の性質(償還請求権・買戻し義務の有無)と合わせて総合的に確認してください。
Q. 「2者間だから通知しない」と言われました。問題ありますか?
A. 一般企業向けには2者間方式もありますが、診療報酬債権では支払基金・国保連への債権譲渡通知が制度上の通常の手続きです。通知しない取引は、対抗要件が備わらないなど医療機関側のリスクが高くなることがあります。通知の有無と理由を必ず確認してください。
Q. すでに契約してしまった取引が、実態は貸付けではないかと不安です。どこに相談すればよいですか?
A. 金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)や顧問弁護士にご相談ください。契約書・見積書・振込記録をそろえておくと相談がスムーズです。
他社のお見積りや契約書も、一緒に読みます
当社とご契約いただく必要はありません。お手元の見積書・契約書のどこを見ればよいかをご説明します。他社の条件のほうが合うと判断した場合は、そうお伝えします。

