病院の74.6%が医業赤字という調査結果があります。診療報酬債権の流動化は厚生労働省の資料でも解説され、消費税法でも非課税と明記された正規の資金調達手段です。制度上の位置づけと、注意すべき点を公的資料から整理しました。
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診療報酬が病院に届くのは、診療から、およそ二ヶ月後。 賞与も、設備の更新も、その二ヶ月を待ってはくれません。 その二ヶ月分を、私たちが先にお支払いします。借入ではなく、債権の売却です。 手数料は三パーセントから。ご契約後、最短三営業日でお受け取りいただけます。 医薬品も、人材も、施設管理も。病院を支えてきた私たちが、資金繰りも、お支えします。
「診療報酬債権を売却するのは、経営が行き詰まった医療機関がやることではないか」——ご相談の場で、こうした受け止めをされる方がいらっしゃいます。
結論から申し上げると、そうではありません。この記事では、公的な資料と法令にもとづいて、この手段が制度上どう位置づけられているかを整理します。
同時に、公的資料が指摘している注意点もそのままお伝えします。良い面だけを並べても判断の役に立たないからです。
この記事でわかること
- いま病院経営がどういう状況にあるのか(公的調査の数字)
- 診療報酬債権の流動化が、制度上どう扱われているか
- 公的資料が指摘している注意点
まず、資金繰りに悩んでいるのは例外ではありません
四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)の調査では、1,629病院の有効回答をもとに次の結果が報告されています。
| 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|
| 医業利益が赤字の病院 | 70.8% | 74.6%(3.8ポイント悪化) |
| 経常利益が赤字の病院 | 52.1% | 65.6%(13.5ポイント悪化) |
医業収益は2.8%増えているものの、支出が3.5%増とそれを上回り、増収減益の状態にあるとされています。
このほか、自治体病院については86%が経常赤字、95%が医業赤字という報告もあります。民間病院を対象とした帝国データバンクの調査でも、営業赤字の割合が61.0%と過去20年で最悪の水準とされています。
資金繰りに悩んでいる医療機関は、少数派ではありません。 これは印象論ではなく、複数の調査が示している事実です。
厚生労働省の資料にも、正面から解説されています
診療報酬債権の流動化は、厚生労働省が公表している医業経営に関する報告書の中で、資金調達の手法のひとつとして解説されています。
その資料には、次のような記述があります。
診療報酬債権は、極めて優良な資産である。医療機関が公正に診療報酬の請求をしているかぎり、回収不能となる危険性がほとんどない債権であるからである。
「極めて優良な資産」という評価です。回収の確実性が高い債権だからこそ、資金化の手段として成立しています。
資料には、特別目的会社(SPV)を使って投資家に販売する仕組みの図も掲載されており、医業経営の選択肢として制度的に整理されていることが分かります。
法令上も、想定された取引です
制度面でも、この取引は例外的なものではありません。
1. 消費税法施行令 10条3項8号
金銭債権の譲受けについて、消費税を非課税と定めています。診療報酬債権の買取手数料に消費税がかからないのは、この規定によるものです。法令が取引の存在を前提としています。
2. 債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律
法人が金銭債権を譲渡する場合の対抗要件について、特例を定めた法律です。債権譲渡が経済活動として行われることを前提に整備されています。
3. 支払基金・国保連の受付体制
社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会は、債権譲渡通知を受け付ける手続きを制度として持っています。医療機関から通知が来ることを想定した運用がなされているということです。
つまり、制度の側が「この取引は行われるもの」として設計されているわけです。
一方で、公的資料が指摘している注意点
良い面だけをお伝えするのは誠実ではないので、同じ厚生労働省の資料が挙げているデメリットと課題もそのまま紹介します。
1. 一度始めると、やめにくい
資料はこう指摘しています。
診療報酬債権の流動化は、流動化を中止すると診療報酬債権の2割しか収入のない月が生じる。その分の資金手当てができていない限り、流動化を中止できないこととなる。
これは重要な指摘です。毎月継続して利用していると、やめた月は入金が大きく減ります。前月分を先に受け取っているため、その月に入ってくるのは残金の精算分だけになるからです。
やめるときのことを、始めるときに考えておく必要があります。当社では、必要な月だけのご利用や、段階的に月数を減らしていく設計もご相談いただけます。この点はファクタリングに頼り続けないための記事でも扱っています。
2. メインバンクとの関係
資料は、金融機関との関係についても指摘しています。
メインバンクに連絡することなく診療報酬債権の流動化を実施すると、メインバンクの口座への診療報酬の振込金額は、流動化の実施前の約2割と、大幅に減少する。
預金口座の残高が減ることで、取引先としての評価に影響する可能性がある、という趣旨です。
対策としては、事前に金融機関へ説明しておくことです。 隠す必要のある取引ではありません。資金使途と期間、いつまでに解消する計画かを説明できれば、むしろ計画性を示すことになります。当社は債権譲渡通知を支払基金・国保連へ連名で送る3者間方式なので、隠れて行う性質のものではありません。
だからといって、どの業者でもよいわけではありません
制度として認められた取引であることと、どの相手と契約してもよいことは別の話です。
金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付(ヤミ金融)について注意喚起を行っています。手数料が不明確な業者、契約書を見せない業者、償還請求権を付けて実質的に貸付にしている業者もあります。
見分け方は悪質なファクタリング業者の見分け方で詳しく解説しています。契約前に、次の点は必ず書面で確認してください。
- 手数料の総額(率だけでなく実額で)
- 償還請求権の有無(買戻し義務があるかどうか)
- 債権譲渡登記の有無と費用負担
- 契約後に追加費用が発生しないか
当社は、契約書・見積書・通知書の案をご契約前にすべてお見せします。顧問弁護士や税理士にご確認いただいたうえでご判断ください。
判断の目安
診療報酬債権の売却が向いているのは、支出の時期と金額が読めている場合です。
- 賞与、納税、設備投資の支払月が決まっている
- 補助金の入金までの立て替えが必要
- 開業直後や承継直後で、最初の入金までの空白がある
いずれも「いつまで」「いくら」が明確なので、必要な月数だけ使って終えられます。
逆に、構造的に収支が合っていない状態を先送りするために使うのは勧められません。資金調達では赤字は解消しないからです。その場合は、支出構造の見直しや事業計画の再設計が先になります。
当社にご相談いただいた場合も、いまは必要ないと判断すればそうお伝えします。資金繰りの状況を伺ったうえで、他の手段のほうが適切であればその旨をご説明します。
まとめ
- 医業利益が赤字の病院は74.6%(四病協・1,629病院)。資金繰りの悩みは少数派ではありません
- 診療報酬債権の流動化は、厚生労働省の資料で資金調達手法として解説されています
- 同資料は診療報酬債権を「極めて優良な資産」と評価しています
- 消費税法施行令で非課税と明記され、支払基金・国保連は債権譲渡通知を受け付ける体制を持っています。制度が前提としている取引です
- 一方で公的資料は「やめにくい」「メインバンクとの関係」という2つの注意点を指摘しています。始める前に、やめ方と金融機関への説明を考えておくべきです
- 制度上正規の取引であることと、どの業者でもよいことは別です。契約前の確認は必須です
ご自身の状況で使うべきかどうかも含めて、お問い合わせからご相談ください。ご相談・お見積りは無料です(ご利用には審査があります)。
よくある質問
Q. 診療報酬債権を売却すると、金融機関からの評価は下がりますか?
A. 厚生労働省の資料は、預金口座の残高が減ることで取引先としての評価に影響する可能性を指摘しています。事前に金融機関へ説明しておくことをおすすめします。資金使途・利用期間・解消の計画を示せれば、計画的な資金管理として理解されることも多いです。当社は3者間方式のため、隠れて行う性質の取引ではありません。
Q. 一度使うと、やめられなくなりますか?
A. 厚生労働省の資料が指摘しているとおり、毎月継続していると、やめた月の入金が大きく減ります。ただしこれは継続利用を前提にした場合の話です。必要な月だけのご利用や、段階的に月数を減らす設計も可能です。ご相談の段階で、やめ方まで含めて設計します。
Q. 銀行融資が受けられるなら、そちらのほうがよいですか?
A. 一般に金利は融資のほうが低く済みます。ただし審査に時間がかかること、借入枠を消費すること、決算書上の借入金が増えることが違いです。支払期日が迫っている場合や、借入枠を設備投資に温存したい場合は、債権の売却が選ばれます。比較はファクタリングと銀行融資の違いをご覧ください。
Q. 赤字の医療機関でも利用できますか?
A. 審査はありますが、赤字であること自体で一律にお断りすることはありません。診療報酬債権そのものの確実性を重視するためです。ただし構造的に収支が合っていない場合、資金調達だけでは解決しません。その点も含めてご相談ください。
使うべきかどうかも含めて、ご相談ください
資金繰りの状況を伺ったうえで、今は必要ないと判断すればそうお伝えします。他社のお見積りを一緒に確認することもできます。

