診療報酬債権を「担保にして借りる」ローンと、「売って先に受け取る」ファクタリング。返済の有無、負債になるか、通知や審査の違いを、身近なたとえと数字で分かりやすく比べます。
動画の内容を文字で読む
診療報酬は、支払基金と国保連から、およそ二ヶ月後に支払われます。 当社は、その請求債権を医療機関さまから買い取ります。支払基金と国保連には、連名で譲渡の通知を行います。制度上、通常の手続きです。 患者さまや、お取引先に通知が行くことはありません。 担保も、保証人も不要。借入ではなく、債権の売買契約です。
この記事でわかること
- 診療報酬債権担保ローンと、診療報酬債権の売却(ファクタリング)は、同じ債権を使っても「契約の中身」がまったく違うこと
- 返済・担保・負債・通知・万一のときの責任、という5つの視点での違い
- どちらが自院に合うかを考えるときの目安
同じ「診療報酬債権」を使っても、やっていることが違います
結論から言うと、診療報酬債権担保ローンは「借りる」方法で、ファクタリングは「売る」方法です。使うものは同じ診療報酬債権ですが、契約の種類が違うため、返済の有無や決算書への載り方が大きく変わります。
診療報酬債権とは、かんたんに言うと「保険診療をしたぶんのお金を、あとで支払基金・国保連から受け取る権利」のことです。診療月の翌月10日までにレセプトを請求し、支払基金からは診療月の翌々月20日前後に入金されます(国保連は都道府県により異なります)。この「あとで受け取る権利」を、担保に差し出すのがローン、そのまま売るのがファクタリングです。
身近なたとえで言えば、持っている時計を「質に入れてお金を借りる」のがローン、「買取店に売る」のがファクタリングです。質に入れた時計は返済すれば戻ってきますが、返せなければ失います。売った時計は最初から自分のものではなくなり、返す義務もありません。
診療報酬債権担保ローンとは
診療報酬債権担保ローンは、金融機関やノンバンクが、診療報酬債権を担保にとってお金を貸す商品です。ABL(動産・債権担保融資)と呼ばれる仕組みのひとつです。
主な特徴は次のとおりです。
- 借入である: 元金と金利を約束どおり返済します。返済は毎月の固定の支出になります。
- 担保がある: 診療報酬債権に担保権(質権や譲渡担保)を設定します。返済が滞ると、貸し手が診療報酬を直接受け取る形に切り替わることがあります。
- 負債になる: 貸借対照表(財産と借金の一覧表)に借入金として載ります。
- 審査は決算書中心: 返せるかどうかを見るため、決算内容や既存の借入状況が重視されやすいです。
- 追加の保証: 商品によっては代表者の連帯保証を求められることがあります。
長めの期間で運転資金を確保したい場合や、金融機関との取引を深めたい場合には、選択肢になります。
診療報酬債権の売却(ファクタリング)とは
いっぽう、当社のサービスは診療報酬債権の「売買(譲渡)」です。当社が債権を買い取り、売却代金を先にお支払いし、支払機関から入金があったら残金を精算します。
- 借入ではない: 返済という概念がなく、売却代金を受け取って終わりです。当社は貸金業者ではなく、本サービスは債権の売買契約です。
- 償還請求権なし(ノンリコース): かんたんに言うと、万一支払機関から入金がなくても、当社が売却した医療機関に返金を求めない契約です。買戻し義務もありません。
- 担保・保証人不要: 債権そのものを買うため、別の担保や保証人は要りません。
- 負債にならない: 売買なので、借入金として決算書に載りません。
- 審査はある: 保険医療機関の指定確認、レセプト請求実績、当社基準の本人確認などです。請求実績を中心に見るため、赤字決算や開業直後でもご相談いただけます。
条件の目安は、手数料3%〜(条件により変動、お見積りで明示)、掛け目90%程度、買取は保険請求額の最大6ヶ月分、ご契約後最短3営業日で入金(初回は審査・通知手続きで時間を要する場合あり)です。買取手数料は消費税非課税です。詳しくはご利用条件・手数料をご覧ください。
5つの視点で見比べる
| 視点 | 診療報酬債権担保ローン | 診療報酬債権の売却(ファクタリング) |
|---|---|---|
| 契約の種類 | 金銭消費貸借(借りる) | 債権譲渡(売る) |
| 返済 | 元金+金利を返済 | 返済なし。手数料を差し引いた売却代金を受け取る |
| 担保・保証人 | 債権に担保設定。保証人を求められることも | 不要 |
| 決算書 | 負債(借入金)として載る | 負債にならない |
| 万一入金が減ったとき | 返済は続く | 医療機関に返金を求められない(審査・契約条件による) |
| 通知 | 担保設定の通知や登記を行う場合がある | 支払基金・国保連へ債権譲渡通知(確定日付付き)。患者・取引先への通知はなし |
どちらが「良い・悪い」ではなく、「借入枠を使ってでも長期に資金を持ちたい」のか、「借入を増やさずに短期のギャップを埋めたい」のかで選び方が変わります。
参考事例
※想定事例です。実在の医療機関の事例ではありません。
G内科クリニック(医療法人・想定)の背景
月の保険請求額は約1,000万円。すでに開業時の融資の返済が続いており、新たに借入を増やすことには銀行からも慎重な意見がありました。秋の納税と設備の修繕が重なり、2ヶ月分ほどの資金を一時的に用意したい状況でした。
やったこと
診療報酬債権担保ローンと、当社への債権売却の両方を検討。「毎月の返済を増やしたくない」「銀行の借入枠を残しておきたい」という理由から、直近2ヶ月分の診療報酬債権を売却する方法を選びました。医療法人のため、定款に応じて理事会の議事録を用意しました。
数字(目安)
- 売却する請求額: 1,000万円 × 2ヶ月 = 2,000万円
- 前払い(掛け目90%として): 2,000万円 × 90% = 1,800万円
- 手数料(仮に3%として): 2,000万円 × 3% = 60万円
- 支払機関からの入金後に精算される残金: 2,000万円 − 1,800万円 − 60万円 = 140万円
結果
契約後、初回は通知手続きを含めて2週間ほどで1,800万円が入金。納税と修繕費を支払い、銀行の借入枠には手をつけずに済みました。決算書に新たな借入金は増えず、翌年度の融資の相談にも影響を残しませんでした。実際の掛け目・手数料・日数は審査により個別に決まります。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 診療報酬債権担保ローンは「担保に入れて借りる」、ファクタリングは「売って先に受け取る」方法です。
- ローンは返済・担保・負債計上がある一方、売却は返済なし・担保不要・負債にならない、という違いがあります。
- 長期の資金ならローンや融資、借入を増やさずに短期のギャップを埋めたいなら債権の売却、という使い分けが目安です。
自院の場合にいくら受け取れるかは、シミュレーターで目安を確認できます。具体的なお見積りはお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
Q. すでに診療報酬債権を担保にしたローンを使っていますが、売却もできますか?
同じ債権に担保が設定されている場合、そのままでは売却が難しいことがあります。担保の範囲や契約内容によって変わるため、まずは現在の契約内容を確認のうえご相談ください。
Q. ローンの金利と、ファクタリングの手数料は、どちらが割安ですか?
契約の性質が違うため、金利と手数料をそのまま並べることはできません。比べるなら「同じ期間に実際にいくら支払い、いくら手元に残るか」で見るのが分かりやすい方法です。たとえば1,000万円の債権を手数料3%で売却した場合、お支払いは30万円、手元に残るのは970万円(債権額の97%)です。実額の一覧は手数料はいくら?実額で見る早見表をご覧ください。
Q. 債権譲渡の通知で、患者さんに知られることはありますか?
ありません。通知を送る相手は支払基金・国保連のみで、患者さんや取引先への通知はありません。通知の流れはご利用の流れでご確認いただけます。
診療報酬債権の買取について、無料でご相談いただけます
手数料3%〜・掛け目90%程度・最短3営業日。いくら、いつ受け取れるかを具体的にお見積りします(審査あり)。

