福祉医療機構(WAM)の医療貸付は償還期間3年以内〜30年以内の設備資金が中心で、長期運転資金は病院が対象外です。公的融資・銀行融資・診療報酬債権の売却を、資金の性質ごとにどう使い分けるかを整理しました。
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手数料は、買取債権額に対して三パーセントから。一回きりの費用で、利息のように毎月かさむことはありません。 たとえば債権額が二千万円で手数料が三パーセントなら、費用は六十万円。受け取る合計は千九百四十万円、債権額の九十七パーセントが手元に残ります。 消費税は非課税。事務手数料や仲介手数料などの追加費用もありません。
医療機関の資金調達には複数の選択肢がありますが、それぞれ得意な領域が違います。合わない手段を選ぶと、時間がかかったり、そもそも対象外だったりします。
この記事では、公的融資・銀行融資・診療報酬債権の売却を、資金の性質ごとにどう使い分けるかを整理します。当社のサービスが適さない場面についても、はっきり書きます。
この記事でわかること
- 福祉医療機構(WAM)の医療貸付で何が借りられるか
- 資金の性質ごとに、どの手段が向いているか
- 当社のサービスが適さない場面
福祉医療機構(WAM)の医療貸付
独立行政法人福祉医療機構は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院・助産所などの建物整備や医療機器の購入資金について、政策融資を実施しています。
対象になる資金
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 設置・整備資金 | 建築資金(新築、増改築、購入、賃借などに必要な資金および土地取得資金)、機械購入資金 |
| 長期運転資金 | 新設等に伴い必要な資金、経営の安定化を図るために必要な資金(ただし病院は対象外) |
注意すべきなのは、長期運転資金について「病院は対象外」とされている点です。診療所や介護施設は対象になり得ますが、病院が運転資金をWAMから借りることはできません。
「公的融資があるから運転資金も大丈夫」と考えていると、病院の場合は前提が崩れます。
償還期間と据置期間
- 償還期間:3年以内〜30年以内(融資の対象や資金の種類等によって異なります)
- 据置期間:6ヶ月以内〜3年以内
30年という長さは、建物のような長期の投資に合わせた設計です。据置期間があるため、建てている間や開院直後は元金の返済を待ってもらえます。
利率は貸付契約時の利率となり、金融情勢に応じて変わります。貸付契約から10年経過ごとに金利を見直す制度もあります。
資金の性質ごとの使い分け
資金は、何に使うかといつまでに返すかで性質が分かれます。それぞれに向いた手段があります。
建物・大型設備(10年〜30年で回収するもの)
向いているもの:WAMの医療貸付、金融機関の設備資金
償却期間と返済期間を合わせられることが重要です。据置期間を設定できる点も、建設中や開院直後には助かります。
向かないもの:診療報酬債権の売却
当社のサービスは保険請求額の最大6ヶ月分が上限です。建物のような大型投資の全額をまかなうものではありません。設備投資そのものは長期の借入で組むのが基本です。
数ヶ月〜1年で解消する運転資金
向いているもの:診療報酬債権の売却、金融機関の短期借入
賞与・納税・仕入れの季節変動、工事期間中の稼働率低下、補助金の入金までの立て替えなどが該当します。
必要な月だけ使って終えられることが重要で、ここに長期の借入を使うと、必要がなくなった後も返済が続きます。
なお、病院はWAMの長期運転資金の対象外なので、この領域で公的融資は使えません。
期日が確定している立て替え
向いているもの:診療報酬債権の売却
補助金の入金待ちが典型です。入金予定日が読めるので、その期間だけ調達すればよく、必要な月数を指定できる手段が合います。詳しくは補助金は入金が遅いの記事をご覧ください。
急いでいる場合
向いているもの:診療報酬債権の売却
当社はご契約後 最短3営業日でご入金します。初回はご相談から入金まで2〜3週間が目安ですが、2回目以降はさらに早くなります。
公的融資や銀行融資は、事業計画書の作成や審査に時間がかかります。支払期日が迫っている場面では間に合わないことがあります。
一覧にすると
| WAM 医療貸付 | 銀行融資 | 診療報酬債権の売却 | |
|---|---|---|---|
| 設備資金 | ◎(3年〜30年) | ◎ | △(最大6ヶ月分まで) |
| 運転資金 | 病院は対象外 | ○ | ◎ |
| 調達までの期間 | 時間がかかる | 時間がかかる | 最短3営業日(初回は2〜3週間) |
| 費用 | 低い | 低い | 手数料3%〜(1回あたり) |
| 決算書上の借入金 | 増える | 増える | 増えない |
| 担保・保証人 | 案件による | 求められることが多い | 不要 |
| 返済 | あり | あり | なし(債権の売買) |
費用だけを見れば、公的融資や銀行融資のほうが有利です。 そこは正直にお伝えします。
当社のサービスが選ばれるのは、速さが必要な場面と、借入枠を温存したい場面、そして病院が運転資金を必要とする場面です。
組み合わせるのが実務的です
現実には、どれか1つを選ぶというより、性質ごとに分けて組み合わせることが多くなります。
例:病棟の機能転換を行う場合
- 建物の改修と機器の購入 → WAMまたは金融機関の設備資金
- 工事期間中の運転資金(稼働率が下がる期間) → 診療報酬債権の売却
- 補助金の入金までの立て替え → 診療報酬債権の売却
こう分けると、設備資金の借入枠を運転資金で消費せずに済みます。金融機関との交渉も、目的が明確なぶん進めやすくなります。
当社のサービスが適さない場面
はっきり申し上げておきます。次の場合、当社のサービスは適していません。
1. 建物の建築費など、大型の設備投資の全額
最大6ヶ月分という上限があります。長期の借入で組むべき資金です。
2. 構造的な赤字を先送りしたい場合
資金調達では赤字は解消しません。支出構造の見直しや事業計画の再設計が先になります。当社にご相談いただいた場合も、そう判断すればその旨をお伝えします。
3. 費用を最小にすることが最優先で、時間に余裕がある場合
金利の面では公的融資・銀行融資のほうが有利です。急いでいないのであれば、そちらを検討されるほうが合理的です。
参考事例:手段を分けて組んだI医療法人(想定)
※ 想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
背景
病床数100床。老朽化した病棟の改修を計画。工事費と機器で約2億円、工事期間は4ヶ月。その間は病棟の一部が使えず、稼働率が下がる見込みでした。月間の保険請求額は約1億円。
やったこと
| 資金の性質 | 使った手段 |
|---|---|
| 建物の改修・機器(2億円) | 公的融資と金融機関の設備資金 |
| 工事期間中の運転資金 | 診療報酬債権の売却(2ヶ月分=2億円) |
| 補助金の入金までの立て替え | 同上 |
債権売却の数字(手数料3%の場合)
- 買取対象の債権額:2億円
- 契約後最短3営業日でのお受け取り:1億8,000万円(掛け目90%)
- 手数料:600万円(消費税非課税)
- 基金・国保連の入金後にお受け取り:1,400万円
- お受け取り合計:1億9,400万円(債権額の97%)
結果
設備資金の借入枠を運転資金に使わずに済み、金融機関との交渉を建物と機器に集中できました。工事完了後、稼働率が戻った段階で債権売却の利用は終了しています。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- WAMの医療貸付は建築資金・機械購入資金が中心で、償還期間は3年以内〜30年以内、据置期間は6ヶ月以内〜3年以内
- 長期運転資金について「病院は対象外」とされています。病院が運転資金を必要とする場面では、別の手段が要ります
- 建物・大型設備は長期の借入、数ヶ月で解消する運転資金は債権売却、と性質で分けると組みやすくなります
- 費用だけを見れば公的融資・銀行融資のほうが有利です。急ぎでなく、借入枠に余裕があるなら、そちらが合理的です
- 当社のサービスが適さない場面(大型設備の全額、構造的な赤字の先送り)もはっきりあります
どの手段が合うかは、資金の使途と必要な時期で決まります。お問い合わせからご相談ください。当社が適さないと判断すれば、その旨をお伝えします。ご相談・お見積りは無料です(ご利用には審査があります)。
よくある質問
Q. WAMの融資と併用できますか?
A. できます。債権の売買契約なので、借入とは別枠です。むしろ設備資金はWAM、工事期間中の運転資金は債権売却、と分けるほうが借入枠を有効に使えます。
Q. 銀行融資の審査中ですが、支払期日が先に来ます。
A. そのような場面でご利用いただくことがあります。ご契約後最短3営業日でのご入金が可能です。ただし初回は審査と債権譲渡通知の手続きがあるため、ご相談から入金まで2〜3週間が目安です。期日から逆算してご相談ください。
Q. 手数料と金利は、単純に比較できますか?
A. 単純な比較はできません。当社の手数料3%は買取債権額に対する1回あたりの率で、月率・年率ではありません。一方、融資の金利は年率です。期間・金額・調達までの日数・借入枠への影響を含めて総合的にご判断ください。比較の考え方はファクタリングと銀行融資の違いで解説しています。
Q. 診療所ですが、WAMの長期運転資金は使えますか?
A. WAMの資料では長期運転資金について「病院は対象外」とされています。診療所の扱いについては、WAMの窓口に直接ご確認ください。当社は病院・クリニック・歯科クリニックのいずれもご利用いただけます。
どの手段が合うか、状況を伺って整理します
資金の使途と必要な時期をお聞かせいただければ、当社のサービスが適さない場面ではその旨をお伝えします。他の手段のほうが合う場合は、そう申し上げます。

