採用単価と定着率の考え方、人件費率の見方、欠員が出たときの判断手順をやさしく解説。採用にお金をかけるべき場面と、そうでない場面を切り分け、資金繰りを崩さない採用計画の立て方をまとめます。
この記事でわかること
- 採用にかけたお金が高いか安いかを判断する「採用単価」と「定着率」の考え方
- 人件費率を見るときに、あわせて確認しておきたい指標
- 欠員が出たときに「採用する・しない」を決めるための手順
人件費は「削る」のではなく「配分を見直す」
結論から言うと、人件費は削る対象ではありません。配分と生産性を見直す対象です。
医療機関の支出で最も大きいのは人件費です。ここを無理に削ると、現場が回らなくなり、退職が増え、また採用が必要になります。採用にはお金と時間がかかるため、結果として支出が増える。この悪循環に入ってしまう医療機関は少なくありません。
大切なのは、「今いる人が働き続けられる状態か」「増員は本当に必要か」「採用にかけたお金は回収できているか」を数字で確認することです。ここからは、自院ですぐに始められる確認方法を順番に説明します。
採用単価と定着率をセットで見る
採用の良し悪しを、募集広告の値段だけで判断すると見誤ります。見るべきは次の2つです。
採用単価は、1人採用するのにかかった総額です。
- 採用単価 = (求人広告費 + 紹介手数料 + 面接や説明会にかかった人件費)÷ 採用できた人数
たとえば年間で求人費に120万円、紹介手数料に180万円を使い、4人採用できたなら、採用単価 = (120万円 + 180万円)÷ 4人 = 75万円 です。
定着率は、採用した人が1年後に何人残っているかです。
- 1年定着率 = 1年後も在籍している人数 ÷ その年に採用した人数
この2つを掛け合わせると、実質的なコストが見えます。採用単価75万円でも、1年定着率が50%なら、1年残る1人あたりのコストは 75万円 ÷ 50% = 150万円 です。単価の安い経路で採用しても、すぐ辞めてしまえば高くつきます。
数字を取るときは、経路別(求人サイト・紹介会社・知人紹介・自院ホームページ)に分けて記録してください。3年ほど続けると、自院に合う経路がはっきり見えてきます。
人件費率は「単体」で見ない
人件費率(人件費 ÷ 医業収益)は、よく使われる指標です。ただしこの数字だけを見て高い低いを判断するのは危険です。診療科、入院の有無、外注の使い方によって適正な水準は変わるからです。
あわせて次の3つを確認します。
| 見る数字 | 計算のしかた | 分かること |
|---|---|---|
| 職員1人あたり医業収益 | 医業収益 ÷ 常勤換算人数 | 人数に対して収益が付いてきているか |
| 時間外手当の割合 | 時間外手当 ÷ 人件費総額 | 業務量と人員配置のズレ |
| 職種別の人件費構成 | 職種ごとの人件費 ÷ 人件費総額 | どこに厚みがあるか |
とくに時間外手当の割合が上がり続けているときは、人手不足のサインです。ただし、増員ではなく業務の見直しで解決する場合もあります。判断の材料として、まず数字を並べることが先です。
欠員が出たときの判断手順
職員が辞めると、反射的に同じ職種を同じ条件で募集しがちです。その前に、次の順番で考えると無駄な採用を減らせます。
- その業務は必要か — 過去の慣習で続いている作業がないかを洗い出す
- 人でなくてもできないか — 予約・問診・会計・レセプト業務の一部は、システムで置き換えられることがあります
- 他の職種に移せないか — 資格が必要な業務と、そうでない業務を分ける
- 常勤でなくてよいか — 忙しい時間帯だけの非常勤、短時間勤務で足りる場合があります
- それでも足りない分だけ採用する
この手順を踏むと、「1人辞めたから1人採る」ではなく「0.5人分で足りる」という結論になることがあります。事務作業の効率化については、医療DXで事務負担とコストを減らすでも取り上げています。
また、採用の時期も資金繰りに影響します。紹介手数料は入職時にまとまった支払いが発生することが多く、賞与月と重なると負担が集中します。年間の採用計画を立てるときは、支払いが集中する月をあらかじめ避けるか、資金の手当てを準備しておくと安心です。
グループの人材サービスという選択肢
自院だけで母集団を集めるのが難しい職種もあります。そうしたときの選択肢として、外部の紹介会社を使う方法があります。
当社Central Medienceのグループには、医療・介護の人材紹介を行うメディカルキャリアがあります。有料職業紹介事業(13-ユ-316075)・労働者派遣事業(派13-317035)の許可を受けて運営しています。美容医療分野に特化した美STARもあり、診療科の特性に応じた紹介が可能です。
採用にかかる費用は、入職のタイミングでまとまって出ていきます。診療報酬債権の買取で先に資金を確保しておけば、支払いが重なる月も落ち着いて対応できます。当社の買取は借入ではなく債権の売買契約で、手数料3%〜(条件により変動)、掛け目は90%程度、保険請求額の最大6ヶ月分まで、ご契約後最短3営業日での入金です(初回は審査・通知手続きのためお時間をいただく場合があります)。条件の詳細はご利用条件をご覧ください。
参考事例
※想定事例です。実在の医療機関の事例ではありません。
H内科クリニック(想定)の背景
常勤看護師5名、事務3名。月の保険請求額は約900万円。2年間で看護師が3名入れ替わり、そのたびに紹介手数料が発生していました。時間外手当も増え続けていました。
やったこと
- 経路別に採用単価を集計。紹介会社経由の採用単価が高く、1年定着率も低いことが判明。
- 退職者への聞き取りから、事務作業の負担が偏っていたことが分かり、レセプト点検の一部を外部委託に変更。
- 欠員が出た際に上の5ステップで検討し、常勤1名の募集を、非常勤2名(午前のみ・午後のみ)に切り替え。
- 紹介手数料の支払いが賞与月と重なる見込みだったため、当社の買取で1ヶ月分の資金を確保。
数字(目安)
- 見直し前の年間採用関連費: 紹介手数料180万円 + 求人広告費60万円 = 240万円
- 見直し後: 紹介手数料90万円 + 求人広告費40万円 = 130万円
- 年間の差: 240万円 − 130万円 = 110万円
- 買取の手数料(月900万円の1ヶ月分、仮に3%として): 900万円 × 3% = 27万円
結果
時間外手当が減り、職員の定着も改善しました。採用を止めたのではなく、必要な人に必要なだけかけるかたちに変えた結果です。実際の手数料・条件は審査により個別に決まります。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 人件費は削る対象ではなく、配分と生産性を見直す対象です。無理な削減は退職と再採用を招きます。
- 採用単価は定着率とセットで見ます。安い経路でも、すぐ辞めてしまえば実質コストは高くなります。
- 欠員が出たら、すぐ同じ条件で募集せず、業務の要否・システム化・職種の見直し・勤務形態の順に検討します。
- 採用費の支払いが集中する月は、あらかじめ資金の手当てを準備しておくと安心です。
採用計画と資金繰りをあわせて相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
よくある質問
Q. 人件費率は何%くらいが適正ですか?
診療科、入院の有無、外注の使い方によって適正な水準は大きく変わるため、一律の目安をお示しすることはできません。他院との比較より、自院の過去数年の推移と、職員1人あたり医業収益の動きを合わせて見ることをおすすめします。
Q. 紹介手数料の支払いに、診療報酬債権の買取は使えますか?
資金の使いみちに特段の制限はありません。採用費、賞与、納税、設備投資など、経営に必要な支払いにご利用いただけます。必要な月数と金額はシミュレーターで目安を確認できます。
Q. 人材紹介と診療報酬債権の買取は、必ずセットで使うのですか?
いいえ。それぞれ単独でご利用いただけます。グループのサービスを併せてご利用の場合は買取条件の優遇対象となることがありますが、条件ではありません。
診療報酬債権の買取について、無料でご相談いただけます
手数料3%〜・掛け目90%程度・最短3営業日。いくら、いつ受け取れるかを具体的にお見積りします(審査あり)。

