2026年度診療報酬改定で、医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算が廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に再編されました。点数と施設基準を整理し、システム投資の支払いと加算の入金がずれる構造への備え方を説明します。
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賞与や納税が重なる月。医療機器や電子カルテの更新。建物の改修や移転。 開業した直後や、事業を承継した直後も、支出が先に出ていきます。 クリニックから三百床規模の病院まで、診療科を問わずご相談いただけます。 必要な月に、必要な月数だけ。使い続ける必要はありません。
2026年度の診療報酬改定で、医療DX関連の加算が大きく再編されました。これまでの2つの加算が廃止され、新しい加算に統合されています。
新しい加算を算定するには、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応が必要です。つまり、先にシステム投資をして、あとから加算で回収する構造になります。
この記事では、加算の内容を整理したうえで、投資と回収のズレをどう埋めるかを説明します。
この記事でわかること
- 2026年度改定で何が廃止され、何が新設されたか
- 新しい加算の点数と施設基準
- 投資の支払いと加算の入金がずれる構造への備え
廃止された加算と、新設された加算
2026年度改定では、次の2つが廃止されました。
- 医療情報取得加算
- 医療DX推進体制整備加算
そして、初診料・再診料・入院料の加算として、電子的診療情報連携体制整備加算が新設されています。
医療DXの推進と、サイバーセキュリティ対策の強化を目指した再編とされています。
新しい加算の点数
| 区分 | 点数 | 算定 |
|---|---|---|
| 初診料 加算1 | 15点 | 月1回 |
| 初診料 加算2 | 9点 | 月1回 |
| 初診料 加算3 | 4点 | 月1回 |
| 再診料・外来診療料 | 2点 | 月1回 |
| 入院 加算1 | 160点 | 入院初日 |
| 入院 加算2 | 80点 | 入院初日 |
加算1から3へと段階が分かれており、対応している内容によって取れる点数が変わる設計です。
施設基準の主な要件
すべての加算に共通するもの
- レセプトのオンライン請求
- 明細書の無料交付
- オンライン資格確認の体制
- マイナ保険証の利用率30%以上
マイナ保険証の利用率が要件に入っている点が重要です。設備を入れるだけでは足りず、患者さまに実際に使っていただく必要があります。窓口での案内や声かけといった運用面の取り組みが求められます。
初診料 加算1(15点)のみ
- 電子処方箋への対応
- 電子カルテ情報共有サービスへの参加
この両方が必須です。片方だけでは加算1は算定できません。
入院 加算1(160点)のみ
- 複数方式によるバックアップの確保(一部はオフライン保管)
- 業務継続計画(BCP)の策定と、年1回以上の訓練実施
サイバー攻撃を受けた場合に診療を継続できる体制を求めるものです。ランサムウェアによる被害が医療機関で相次いだことを踏まえた要件と考えられます。
バックアップの一部をオフラインで保管するという点は、既存の構成を変更する必要が出る場合があります。
詳細な施設基準は、厚生労働省の告示および疑義解釈資料をご確認ください。要件の解釈は改定後に追加で示されることがあるため、最新の情報を確認されることをおすすめします。
投資と回収がずれる、という構造
ここからが資金繰りの話です。
加算を算定するには、先に体制を整える必要があります。かかる費用の例を挙げると、
- 電子カルテの更新またはバージョンアップ
- 電子処方箋への対応(システム改修、HPKIカードの取得)
- 電子カルテ情報共有サービスへの接続
- バックアップ環境の構築(オフライン保管を含む)
- サイバーセキュリティ対策
- BCPの策定と訓練の実施
これらは導入時にまとまった支出になります。一方、加算で入ってくるのは、
- 初診料 加算1で15点=150円(月1回)
- 再診料で2点=20円(月1回)
1人あたりの単価は小さく、患者数を積み上げて回収する形になります。しかも診療報酬なので、入金は診療の約2ヶ月後です。
つまり、
- 支出:導入時に一括
- 回収:少額ずつ、しかも2ヶ月遅れで
という非対称な構造になります。
補助金を使う場合は、さらに遅れます
医療DX関連の投資には補助金が使えることがあります。ただし補助金は精算払い(後払い)が原則です。
工事や機器の代金を全額支払い、実績報告を提出し、額が確定してから入金されます。詳しくは補助金は入金が遅いの記事で解説していますが、補助金があっても、立て替えの期間は発生します。
「補助金が出るから大丈夫」と考えていると、支払月に資金が足りなくなります。
資金の設計をどうするか
やることは単純で、3つの日付を並べるだけです。
- システム費用の支払日 — 契約時、納品時、検収後など、契約条件を確認する
- 補助金の入金予定日(使う場合)— 実績報告と額の確定を経た後
- 加算が入金され始める日 — 算定開始月の約2ヶ月後
この3つを並べると、どの期間に、いくら足りないかが見えます。あとはその分を手当てすればよいだけです。
手当ての方法としては、自己資金、金融機関のつなぎ融資、診療報酬債権の売却などがあります。当社のサービスは債権の売買契約なので、決算書上の借入金は増えません。設備投資のための借入枠を温存したまま、運転資金を確保できます。
参考事例:電子処方箋対応を進めたG内科クリニック(想定)
※ 想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
背景
月間の保険請求額は約800万円。加算1(15点)の算定を目指し、電子カルテの更新と電子処方箋への対応、電子カルテ情報共有サービスへの接続を同時に進めることにしました。費用は合計で約900万円。一部に補助金が使える見込みでしたが、入金は数ヶ月先です。
やったこと
納品月に合わせて、保険請求額の2ヶ月分(1,600万円)を売却しました。
数字(手数料3%の場合)
- 買取対象の債権額:1,600万円
- 契約後最短3営業日でのお受け取り:1,440万円(掛け目90%)
- 手数料:48万円(消費税非課税)
- 基金・国保連の入金後にお受け取り:112万円
- お受け取り合計:1,552万円(債権額の97%)
結果
システム費用の支払いを予定どおり実行し、補助金の入金を待たずに導入を完了できました。導入が早まったぶん、加算の算定開始も前倒しになっています。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 2026年度改定で医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算が廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算に再編されました
- 点数は初診料で15点/9点/4点、再診料で2点、入院で160点/80点(いずれも段階あり)
- 共通要件にマイナ保険証の利用率30%以上が含まれます。設備だけでなく運用の取り組みが必要です
- 初診料 加算1には電子処方箋対応と電子カルテ情報共有サービス参加の両方が必須です
- 入院 加算1にはバックアップの一部オフライン保管とBCPの策定・年1回以上の訓練が求められます
- 支出は導入時に一括、回収は少額ずつ2ヶ月遅れ。補助金を使う場合はさらに遅れます
- 支払日・補助金入金日・加算の入金開始日を並べれば、必要な資金と期間が計算できます
導入の時期が決まっていれば、資金は事前に設計できます。資金調達シミュレーターで概算を出したうえで、お問い合わせからご相談ください。ご相談・お見積りは無料です(ご利用には審査があります)。
よくある質問
Q. 加算の要件や点数は、今後変わりますか?
A. 診療報酬は2年ごとに改定されます。また改定後も、疑義解釈という形で要件の解釈が追加で示されることがあります。この記事は公表資料をもとに整理したものですが、算定にあたっては厚生労働省の告示および最新の疑義解釈をご確認ください。
Q. システム投資の資金として利用できますか?
A. できます。診療報酬債権の売却なので使途の制限はありません。設備投資・システム投資・納税・賞与など、どのような支払いにもご利用いただけます。
Q. 補助金の交付決定を待たずに導入したいのですが、可能ですか?
A. 補助金の要件として「交付決定前の着手を認めない」とされている場合があります。この点は補助金ごとに異なるため、必ず交付要綱をご確認ください。当社は資金面のご支援をするもので、補助金の要件について助言する立場にはありません。
Q. 導入費用が大きく、1ヶ月分では足りません。
A. 保険請求額の最大6ヶ月分まで対応しています。必要な金額と時期をお聞かせいただければ、複数のパターンでお見積りします。まとまった月数のご利用では、手数料率の条件が良くなることがあります。
システム投資の支払月に合わせて、資金を設計します
導入費用の支払時期と、加算が入金され始める時期をお聞かせいただければ、その差を埋める月数だけの設計をご提案します。補助金の入金待ちにも対応できます。

