医療法人は決算後に、法人税の申告(2ヶ月以内)と都道府県への事業報告書等の届出(3ヶ月以内)という2つの期限を抱えます。中間申告の要件とあわせて、いつ・いくらの資金が必要になるかを整理しました。
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診療報酬は、診療した月の翌月十日までにレセプトで請求します。 支払基金からの入金は、その翌月二十日前後。国保連は都道府県によって異なります。 つまり診療から入金まで、およそ五十日から八十日かかります。この間も、人件費や仕入れの支払いは続きます。 当社は、この期間を埋めるために診療報酬債権を買い取ります。
医療法人の決算は、税務と行政報告の2つの期限を同時に管理する必要があります。そして納税は、まとまった金額が一度に出ていく数少ない場面です。
期限と金額が事前に分かっていれば、資金は設計できます。この記事では、押さえるべき期限を整理しました。
この記事でわかること
- 決算後に発生する期限(2ヶ月・3ヶ月)
- 中間申告が必要になる条件
- 納税月の資金をどう準備するか
決算後に来る2つの期限
1. 法人税の申告・納付 — 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内
法人税の申告期限は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。医療法人も一般の法人と同じ扱いになります。
納付期限も同じ日です。申告だけして納付を後回しにすることはできません。
決算月ごとに見ると、こうなります。
| 決算月 | 法人税の申告・納付期限 |
|---|---|
| 3月 | 5月31日 |
| 6月 | 8月31日 |
| 9月 | 11月30日 |
| 12月 | 翌2月末日 |
消費税の申告・納付期限も、原則として同じ日です(課税事業者の場合)。法人税と消費税が同じ日に重なるため、その月の支出は大きくなります。
なお、申告期限の延長の特例という制度がありますが、延長できるのは申告期限であって、納付期限は延長されません。延長した場合、納付が遅れた期間について利子税がかかります。
2. 事業報告書等の届出 — 会計年度終了後3ヶ月以内
医療法人には、税務申告とは別に都道府県知事への届出義務があります。
毎会計年度終了後2ヶ月以内に事業報告書等を作成し、3ヶ月以内に都道府県知事に届出をします。
つまり期限の管理は、
- 2ヶ月 — 法人税・消費税の申告と納付/事業報告書等の作成
- 3ヶ月 — 都道府県への届出
という並びになります。決算作業が遅れると、複数の期限が同時に危うくなる構造です。
中間申告が必要になる条件
事業年度が6ヶ月を超える普通法人は、原則として事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告書を提出する必要があります。
ただし例外があります。
前事業年度の実績にもとづく中間納付額(前期基準額)が10万円以下の場合は、中間申告は不要です。
計算方法は、法人税法第71条第1項第1号に定められています。前事業年度の法人税額を前事業年度の月数で割り、事業年度開始の日から6ヶ月経過日の前日までの月数を掛けた金額です。おおまかには前年の法人税額の半分とお考えください。
3月決算であれば、11月末が中間申告・納付の期限になります。
決算月別に見た、資金の山
3月決算の医療法人を例に、年間の資金の山を並べてみます。
| 月 | 出来事 |
|---|---|
| 5月末 | 法人税・消費税の申告と納付/4月分社会保険料 |
| 6月 | 賞与/労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日) |
| 6月末 | 事業報告書等の都道府県への届出期限/5月分社会保険料 |
| 7月末 | 労働保険料の納付/6月分社会保険料(賞与分を含む) |
| 11月末 | 法人税・消費税の中間納付 |
| 12月 | 賞与/年末の仕入れ |
| 1月末 | 12月分社会保険料(賞与分を含む) |
5月から7月まで3ヶ月続けて重くなります。納税・賞与・労働保険が連続する期間です。
一方で診療報酬の入金は、診療月の約2ヶ月後で一定です。支出だけが増える月があるという構造になります。
決算月が違えば山の位置も変わりますが、「決算月の2ヶ月後」と「その6ヶ月後」に納税があるという関係は共通です。
納税資金の準備は、いつから始めるか
納税額は、決算を締めればおおよそ見えます。決算の見込みが立った時点で、納付月の資金を確認するのが基本です。
3月決算であれば、こういう流れになります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3月 | 決算見込みを固め、法人税・消費税の概算額を把握する |
| 4月 | 5月末の納付と6月の賞与を合わせて、資金が足りるか確認する |
| 4月下旬 | 不足しそうなら、資金の手当てを検討・相談を始める |
| 5月 | 手続きを進める |
| 5月末 | 納付 |
当社のサービスは、初回はご相談から入金まで2〜3週間が目安です(審査と債権譲渡通知の手続きがあるため)。2回目以降はさらに早くなります。
5月末の納付に間に合わせるなら、4月下旬から5月上旬にはご相談いただくのが安全です。
なぜ借入ではなく債権の売却が選ばれるのか
納税資金の調達で診療報酬債権の売却が使われる理由は、主に3つあります。
1. 決算書上の借入金が増えない
債権の売買(譲渡)契約なので、負債は増えません。決算直後に借入を増やすと、次期の財務指標に影響します。金融機関との関係を考えると、この差は小さくありません。
2. 借入枠を温存できる
納税は毎年発生する運転資金の支出です。ここで借入枠を使うと、設備投資や建替えといった長期の計画に使える枠が減ります。
3. 必要な月だけ使える
納税月だけ利用し、翌月からは使わないという選び方ができます。継続の義務はありません。
参考事例:決算と賞与が重なったF会(想定)
※ 想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
背景
3月決算の医療法人。月間の保険請求額は約6,000万円。5月末に法人税・消費税で約1,800万円、6月に賞与で約3,500万円の支出が見込まれました。さらに7月には労働保険料の納付も控えています。
前年より職員数が増えていたため、労働保険の確定精算でも追加の支払いが予想されました。
やったこと
4月下旬に相談し、5月に1ヶ月分(6,000万円)を売却しました。
数字(手数料3%の場合)
- 買取対象の債権額:6,000万円
- 契約後最短3営業日でのお受け取り:5,400万円(掛け目90%)
- 手数料:180万円(消費税非課税)
- 基金・国保連の入金後にお受け取り:420万円
- お受け取り合計:5,820万円(債権額の97%)
結果
5月末の納税、6月の賞与、7月の労働保険料までを、手元資金を大きく減らさずに乗り切れました。決算直後に借入金を増やさずに済んだため、金融機関との交渉にも影響しませんでした。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 法人税・消費税の申告と納付は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内。3月決算なら5月31日です
- 医療法人は別に、会計年度終了後2ヶ月以内に事業報告書等を作成し、3ヶ月以内に都道府県知事へ届出が必要です
- 中間申告は事業年度開始から6ヶ月経過日の翌日から2ヶ月以内。ただし前期基準額が10万円以下なら不要です
- 申告期限の延長ができても、納付期限は延長されません(利子税がかかります)
- 3月決算なら5月・6月・7月が3ヶ月続けて重くなります
- 納税額は決算を締めれば見えるので、逆算して準備できます
決算月と概算の納税額が分かれば、必要な資金と時期は計算できます。資金調達シミュレーターで概算を出したうえで、お問い合わせからご相談ください。ご相談・お見積りは無料です(ご利用には審査があります)。
よくある質問
Q. 納税資金として利用できますか?
A. できます。診療報酬債権の売却なので使途の制限はありません。納税・賞与・仕入れなど、どのような支払いにもご利用いただけます。
Q. 決算直前に利用すると、決算書にどう反映されますか?
A. 借入ではなく債権の売買(譲渡)契約のため、決算書上の借入金は増えません。会計処理については会計処理と消費税の記事で解説していますが、具体的な処理は顧問税理士にご確認ください。
Q. 中間申告が必要かどうか、どう判断すればよいですか?
A. 前事業年度の実績にもとづく中間納付額(前期基準額)が10万円以下なら不要です。判定は前年の法人税額によるので、顧問税理士にご確認いただくのが確実です。
Q. 納税の直前に相談しても間に合いますか?
A. 初回はご相談から入金まで2〜3週間が目安です。納付期限の3〜4週間前にはご相談いただくのが安全です。2回目以降は請求データの受領後すぐに買取が可能なため、より短い期間で対応できます。
納税月の資金を、事前に設計します
決算月と概算の納税額をお聞かせいただければ、どの月にいくら必要かを逆算し、必要な月数だけの資金設計をご提案します。借入ではないため、決算書上の借入金は増えません。

