医療機関の資金繰りは、診療報酬の入金日と支出の期日のズレで決まります。社会保険料の翌月末日、労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)、賞与、納税など、毎年決まっている支出の期日を出典付きで整理しました。
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診療報酬は、診療した月の翌月十日までにレセプトで請求します。 支払基金からの入金は、その翌月二十日前後。国保連は都道府県によって異なります。 つまり診療から入金まで、およそ五十日から八十日かかります。この間も、人件費や仕入れの支払いは続きます。 当社は、この期間を埋めるために診療報酬債権を買い取ります。
診療報酬の入金が診療の約2ヶ月後であることは、入金サイクルの記事でご説明しました。一方で、支出の期日は制度で決まっていて動かせません。
資金が足りなくなるのは、この「動かせない支出」が重なる月です。どの月に何があるのかを、出典付きで整理しました。
この記事でわかること
- 毎月・毎年、いつ・何の支払いが発生するのか
- 支出が重なりやすいのはどの月か
- その月に向けて、いつから準備すればよいか
毎月かならず発生するもの
社会保険料(健康保険・厚生年金)— 翌月末日
日本年金機構によると、納付期限は納付対象月の翌月末日です。4月分の保険料の納付期限は5月末日になります。末日が休日の場合は、翌日以降の最初の営業日です。
毎月20日頃に、年金事務所から「保険料納入告知書」または「保険料納入告知額・領収済額通知書」が事業所へ送られます。金額が分かるのは20日頃、支払うのは月末、という流れです。
医療機関は人件費の比率が高い業種なので、社会保険料の事業主負担は毎月まとまった額になります。職員数が多いほど、この月末の支出が重くなります。
給与
支給日は医療機関ごとに異なりますが、月末や25日が多く見られます。社会保険料の納付期限(月末)と近いため、月末に給与と社会保険料が重なることがあります。
源泉所得税
原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納付します。給与の支払人員が常時10人未満の場合は、届出により年2回にまとめる特例(納期の特例)があります。
医薬品・医療材料の仕入代金
支払条件は取引先との契約によりますが、月末締め翌月末払いなどが一般的です。
年に1回・数回のもの
労働保険の年度更新 — 6月1日〜7月10日
労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として算定されます。年度更新では、前年度の概算保険料の確定精算と、当該年度の概算保険料の申告・納付を同時に行います。
手続きの期間は毎年6月1日から7月10日までです。
前年度に職員が増えていた場合、確定精算で追加の支払いが発生します。採用を増やした翌年の6〜7月は、想定より支出が大きくなることがあります。
賞与
6月・12月に支給する医療機関が多く、その月の人件費が通常月の1.5〜2倍になることもあります。賞与にも社会保険料がかかるため、翌月末の社会保険料も連動して増えます。
つまり、12月に賞与を出すと、1月末の社会保険料も重くなります。負担は2ヶ月にわたります。
法人税・住民税・事業税(医療法人)
決算月の翌々月末までに申告・納付します。3月決算なら5月末が期限です。前年度の税額が一定以上であれば、事業年度の中間で予定納税(中間申告)も発生します。
消費税(課税事業者の場合)
保険診療は非課税ですが、自由診療や物販がある場合は課税売上が発生します。納付回数は前年度の税額によって変わり、年1回から年12回まであります。
支出が重なりやすい月
上を並べると、負担が集中する月が見えてきます。
| 月 | 重なるもの |
|---|---|
| 6月 | 賞与/労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)/5月分社会保険料(6月末) |
| 7月 | 労働保険料の納付/6月分社会保険料(賞与分を含む・7月末) |
| 12月 | 賞与/年末の仕入れ/11月分社会保険料(12月末) |
| 1月 | 12月分社会保険料(賞与分を含む・1月末) |
| 決算月の翌々月 | 法人税・住民税・事業税 |
6月・7月と、12月・1月が、2ヶ月続けて重くなる構造です。賞与そのものだけでなく、その社会保険料が翌月に来ることを見落としがちです。
なお、3月決算の医療法人であれば、5月末に法人税等の納付が加わります。5月・6月・7月と3ヶ月続けて支出が大きくなることになります。
入金と支出のズレを図にすると
診療報酬の入金は、診療月の翌月10日までに請求 → 翌々月20日前後に入金です。一方、支出は上のとおり毎月末に確実に発生します。
つまり、
- 4月に診療した分の入金は、6月20日前後
- 4月の人件費・仕入れの支払いは、4月末〜5月末
支払いが先、入金が後という構造が、常に続いています。通常月はこれで回っていても、賞与や納税が重なる月には手元資金が足りなくなります。
準備は、いつから始めればよいか
支出の期日は決まっているので、逆算できます。
例:12月の賞与に向けて
| 時期 | やること |
|---|---|
| 9月 | 賞与の支給見込額を固め、12月と1月の資金が足りるか確認する |
| 10月 | 不足しそうなら資金の手当てを検討し、必要なら相談を始める |
| 11月 | 手続きを進める(初回のご利用なら、ここから始めても間に合います) |
| 12月 | 賞与の支給 |
| 1月 | 賞与分を含む社会保険料の納付 |
当社のサービスは、初回はご相談から入金まで2〜3週間が目安です(審査と債権譲渡通知の手続きがあるため)。2回目以降はさらに早くなります。
12月の賞与に間に合わせるなら、11月中にはご相談いただくのが安全です。ぎりぎりでも対応できる場合はありますが、余裕を持って設計できたほうが条件面でも有利になります。
参考事例:賞与と社会保険料の2ヶ月を乗り切ったD医院(想定)
※ 想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
背景
職員30名、月間の保険請求額は約2,000万円。12月の賞与が約1,200万円、翌1月末の社会保険料が通常月より約200万円多くなる見込みでした。年末の医薬品仕入れも重なります。
やったこと
11月に相談し、12月に1ヶ月分(2,000万円)を売却しました。
数字(手数料3%の場合)
- 買取対象の債権額:2,000万円
- 契約後最短3営業日でのお受け取り:1,800万円(掛け目90%)
- 手数料:60万円(消費税非課税)
- 基金・国保連の入金後にお受け取り:140万円
- お受け取り合計:1,940万円(債権額の97%)
結果
12月の賞与と年末の仕入れ、翌1月末の社会保険料までを、手元資金を大きく減らさずに乗り切れました。2月以降は利用していません。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 社会保険料の納付期限は納付対象月の翌月末日(日本年金機構)
- 労働保険の年度更新は6月1日〜7月10日。前年度の確定精算と当年度の概算保険料の申告・納付を同時に行います
- 賞与の翌月は社会保険料も増えるため、負担は2ヶ月にわたります
- 支出が重なるのは6〜7月と12〜1月。3月決算なら5月の納税も加わります
- 支出の期日は決まっているので、逆算して準備できます。12月の賞与に備えるなら11月中のご相談が安全です
ご自身の医療機関でどの月が厳しくなりそうかは、年間の支出予定と月間の保険請求額が分かれば整理できます。お問い合わせからご相談ください。ご相談・お見積りは無料です(ご利用には審査があります)。
よくある質問
Q. 社会保険料の納付期限を延ばすことはできますか?
A. 原則として納付期限は変えられません。事情によっては納付の猶予制度が使える場合がありますが、要件があり、延滞金がかかることもあります。まずは年金事務所にご相談ください。当社は納付の猶予に関する手続きを代行するものではなく、資金そのものを早く受け取っていただくための仕組みです。
Q. 賞与の月だけ利用することはできますか?
A. できます。1ヶ月分からのご利用が可能で、継続の義務はありません。毎年12月だけ利用される医療機関さまもいらっしゃいます。
Q. 労働保険の年度更新で追加の支払いが出そうです。間に合いますか?
A. 手続き期間は6月1日から7月10日なので、5月中にご相談いただければ余裕を持って準備できます。初回はご相談から入金まで2〜3週間が目安です。
Q. 決算月の納税に使えますか?
A. 使えます。診療報酬債権の売却なので使途の制限はありません。納税資金としてご利用いただけます。借入ではないため、決算書上の借入金も増えません。
資金の谷が来る月を、一緒に洗い出します
年間の支出予定と月間の保険請求額をお聞かせいただければ、どの月にいくら不足しそうかを整理し、必要な月だけの資金設計をご提案します。

