医療機関の利益を残すには材料費率の適正化が不可欠です。材料費の全国平均データや見直し手順、手元の資金繰りを安定させる手法まで平易に解説します。
この記事でわかること
- 医療機関における原価管理の重要性と材料費率の平均水準
- 医薬品費や診療材料費を無理なく引き下げる具体的な手順
- 資金繰りを安定させながらコスト削減を前進させる実務の工夫
医療機関における原価管理と材料費率の基本
医療機関の経営を安定させるには、売上を増やすだけでなく原価管理の徹底が欠かせません。原価管理とは、かんたんに言うと診療にかかった材料費や人件費を把握して無駄を削る取り組みです。
患者数を急激に増やすことや診療報酬の点数を独自に引き上げることは、制度上とても困難です。そのため、手元の資金を残す手段として費用の最適化が重要な課題となります。
費用の中でも最初に着手しやすい項目が、医薬品や医療材料などの「材料費」です。材料費率とは、かんたんに言うと医業収益に対して材料の仕入れ代金がどれくらいを占めているかを示す割合です。
人件費の削減は職員の士気低下につながりやすく、安易な引き下げは医療の質に直結します。これに対して材料費の管理は、患者への診療水準を落とすことなく無駄を省きやすい分野です。
材料費率を数パーセント下げるだけでも、毎月手元に残る資金の額は大きく改善します。まずは日々の診療でどれだけのコストが発生しているかを正確に把握することから始めましょう。
医療現場における材料費率の平均値と影響
材料費率の適正水準を知るためには、公的な統計データを基準として確認することが役立ちます。厚生労働省の中央社会保険医療協議会が公表した「第24回医療経済実態調査(令和5年実施)」を参照してみましょう。
同調査の報告によると、医療法人立の一般診療所における医業・介護収益に対する費用の構成比率は、医薬品費が10.8%、材料費が4.0%となっています(令和4年度数値)。合計すると約14.8%の割合です。
同調査における医療法人立の一般病院では、医薬品費が9.4%、診療材料費・医療消耗器具備品費が7.9%を占めています。病院全体では医薬品と材料費の合算で17.3%に達する水準です。
また、同調査における個人立の歯科診療所をみると、医業収益に対する歯科材料費の比率は7.2%前後で推移しています。診療科や入院設備の有無によって材料費率の目安は大きく異なります。
自院の決算書や試算表を確認し、全国平均や同科目の水準と比べて高くないかを点検してください。もし平均値を上回っている項目があれば、仕入れや在庫管理に改善の余地があると考えられます。
材料費率を下げるための3つの見直しポイント
材料費率を引き下げるためには、現場の負担を抑えつつ効果が出る部分から着手する必要があります。具体的には以下の3つの手順に沿って見直しを進めると円滑です。
1. 医薬品や消耗品の購入価格を再交渉する
医薬品や診療材料の納入価格は、取引している卸業者との関係によって差が生じます。長年同じ条件で見直していない場合、市場の実勢価格と乖離しているケースが珍しくありません。
近隣の取引相場を調査し、複数社からの相見積もりを取ることで価格の適正化を図ります。共同購入グループへの参加や納入業者の集約を検討することも、単価交渉の有効な選択肢です。
2. 同効薬や後発医薬品への切り替えを進める
先発医薬品から後発医薬品(ジェネリック医薬品)への切り替えは、薬価差益の確保に寄与します。また、類似した効果を持つ複数の処置用材料を院内で統一する作業も効果的です。
医師や看護師ごとに異なるメーカーの器具を使っていると、発注の手間やコストが増加します。院内で採用する規格や品目を標準化することで、まとめ買いによる単価引き下げが期待できます。
3. 使用量の標準化と廃棄ロスの削減を図る
使用期限切れによる薬剤や材料の廃棄は、文字通り手元の現金を捨てている状態と同じです。保管場所ごとに使用期限を色分けして表示し、古いものから先に使う先入れ先出しを徹底します。
現場で過剰に開封されて使われずに廃棄される材料がないか、定期的な抜き打ち確認も有効です。スタッフ全員にコスト意識を共有してもらうための院内ルール作りを進めていきましょう。
在庫管理の適正化で手元の資金を増やす方法
材料費率の改善と並んで大切なのが、院内に置かれている「在庫の量」を適切に整えることです。在庫資産とは、かんたんに言うと「形を変えて院内に眠っている現金」にほかなりません。
過剰な在庫を抱え込むと、仕入れ代金の支払いだけが先に出ていき、資金繰りを強く圧迫します。欠品を恐れるあまり多めに発注する習慣がついている現場では、在庫過多が常態化しがちです。
適正な在庫量を保つためには、毎月末に棚卸しを行い、各品目の消費スピードを把握しましょう。消費ペースに応じた「発注点(これ以下になったら発注する数量)」を品目ごとに設定します。
日常的に使う消耗品は1〜2週間分の必要最低限にとどめ、納品までのリードタイムを意識します。在庫を適正水準まで圧縮できれば、そのぶん仕入れの支払いが減り、手元に現金を残せます。
日々の資金推移を把握したい場合は、事前に資金計画の試算を行うこともおすすめです。経営状況の確認には 資金シミュレーター をご活用いただけます。
資金繰りを安定させて原価改善を進める手段
材料費の改善には数ヶ月の期間が必要であり、仕入れ単価を下げるための一括購入には資金が要ります。しかし、医療機関の収入である保険診療報酬は、請求から入金まで約2ヶ月の遅れが生じます。
入金までのタイムラグがある中で仕入れ代金の支払期日が重なると、資金繰りが厳しくなりがちです。手元の運転資金に余裕がない状態では、有利な条件での価格交渉にも踏み切れません。
こうした経営課題を解決する手段のひとつとして、診療報酬債権の買取(ファクタリング)があります。当社のサービスは、保険診療の請求権を期日前に売却して資金化する債権の売買(譲渡)取引です。
金融機関からの融資や借入ではないため、負債を増やすことなく手元の運転資金を迅速に確保できます。当社の条件は以下のとおり定めており、明瞭な体系でご利用いただけます。
- 買取手数料:3%〜(医療機関の条件により変動・お見積りで事前に明示、消費税は非課税)
- 掛け目:90%程度
- 買取上限額:保険請求額の最大6ヶ月分
- 入金までの日数:ご契約後、最短3営業日で入金
- 対象となる機関:病院、クリニック、歯科診療所(調剤薬局や介護事業者は要相談)
- 契約の形態:償還請求権なし(ノンリコース)・買戻し義務なし・担保および保証人は不要
- 通知の範囲:社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会への債権譲渡通知を行う3者間方式(患者や一般取引先への通知はありません)
当社は貸金業者ではありませんので、自院の信用情報に借入としての履歴が残る心配はありません。なお、所定の審査は存在し、事業の実態に応じて買い取りの可否を総合的に判断いたします。
詳しい手数料の目安や取引条件については、料金案内ページ でもご確認いただけます。
参考事例
原価管理の徹底と債権買取を組み合わせ、資金繰りを立て直した架空のモデルケースを紹介します。
※想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
背景
無床の内科クリニックを営むA院長は、近隣の競合増加に伴い、収益の伸び悩みに直面していました。さらに決算書を確認したところ、医薬品費と診療材料費を合わせた材料費率が18%に達していました。
全国平均と比べて材料費率が高く、薬品の期限切れ廃棄や過剰な在庫発注が頻発していたのです。仕入れ先への支払いが重なる一方、診療報酬の入金は2ヶ月先となるため、資金繰りが逼迫していました。
やったこと
A院長はまず院内の棚卸しを徹底し、不動在庫の処分と発注点の見直しを実施しました。薬品卸業者との間で採用薬の集約交渉を進め、単価の引き下げ合意を取り付けました。
同時に、改善期間中の資金ショートを回避するため、当社の診療報酬債権買取サービスを利用しました。翌月に入金予定となっていた保険請求額1,000万円の債権を早期に資金化することにしました。
数字の試算
当社の規定モデル(掛け目90%・手数料3%)に基づき、以下の計算で早期資金化を実行しました。
- 対象債権額:10,000,000円
- 前払い額(最短3営業日で受取):10,000,000円 × 90% = 9,000,000円
- 買取手数料(消費税非課税):10,000,000円 × 3% = 300,000円
- 残金(支払基金からの入金後):10,000,000円 − 9,000,000円 − 300,000円 = 700,000円
- 受取合計額:10,000,000円 × 97% = 9,700,000円
結果
A院長は最短3営業日で前払い額900万円を受け取り、滞りなく薬品卸業者への支払いを完了できました。まとまった資金を背景に価格交渉を優位に進められ、材料費率を従来の18%から15%へと抑制できました。
支払基金から当社への入金完了後、差額の残金70万円も無事に受領し、取引は円滑に終了しました。原価改善と資金調達の併用により、資金不足の不安を解消して診療に専念できる環境が整いました。
資金計画や調達の具体的なご相談については、お問い合わせ窓口 より受け付けております。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
医療機関の利益を安定的に確保するためには、収益拡大だけでなく日々の原価管理が極めて重要です。特に材料費率は、医療の質を損なわずに経営改善を図りやすい項目といえます。
厚生労働省などの公的データを自院の数値と比較し、乖離が大きい部分は仕入れや在庫を見直しましょう。使用期限切れの削減や採用品目の集約を行うだけでも、着実に手元の資金は改善します。
ただし、原価管理の成果が出るまでには一定の時間がかかり、運転資金の一時的な不足が起こり得ます。資金繰りに不安がある場合は、診療報酬債権の買取といった手段を上手に組み合わせるのが賢明です。
負債を増やさずに手元資金を厚くしておけば、卸業者との価格交渉も落ち着いて進められるようになります。将来にわたる健全な医業経営を維持するために、無理のない原価管理を今日から実践してください。
よくある質問
Q1. 原価管理を始めたいのですが、最初に何から着手すべきですか?
まずは直近の決算書から「医薬品費」と「診療材料費」を抜き出し、材料費率を算出してください。厚生労働省の「医療経済実態調査」などの公的データと数値を比較し、自院の立ち位置を把握します。その後、院内にある薬品や材料の棚卸しを行い、使われていない不動在庫を洗い出す作業から始めると無理がありません。
Q2. 診療報酬債権の買取は、金融機関からの融資と何が違うのですか?
診療報酬債権の買取は、将来入金される売掛債権を期日前に売買(譲渡)する取引であり借入ではありません。担保や保証人は不要であり、金融機関の借入金とは異なり負債勘定が増えない点が特徴です。当社サービスは償還請求権のない契約ですので、万が一支払機関側で査定減額があっても買戻しを請求される心配はありません。
Q3. 診療報酬債権を譲渡したことが、来院する患者や納入業者に知られませんか?
患者様や普段取引している薬品卸などの納入業者に通知されることはありません。当社の3者間契約では、請求先である支払基金や国保連に対して法令に基づいた債権譲渡通知を行います。院内の掲示義務等も一切発生しませんので、日々の診療業務や取引関係に支障を与えることなくご利用いただけます。
Q4. 診療所の経営が赤字の状況でも債権の買取審査には通りますか?
当社では過去の決算数値だけでなく、現在の診療実績や保険請求の状況などを踏まえて総合的に判断いたします。赤字決算や税金の納付猶予中であっても、事業の実態に応じて柔軟に審査を実施しております。ただし、所定の審査基準を満たさない場合にはご希望に添えないこともございますので、あらかじめご相談ください。
診療報酬債権の買取について、無料でご相談いただけます
手数料3%〜・掛け目90%程度・最短3営業日。いくら、いつ受け取れるかを具体的にお見積りします(審査あり)。

