中小病院の後継者不在に悩む院長・事務長に向けて、M&Aや事業承継の適切なタイミング、手続き中の資金繰り対策を解説します。
この記事でわかること
- 中小病院における後継者不在の現状と第三者承継(M&A)の基礎知識
- 病院の譲渡・承継を具体的に進めるべき最適なタイミング
- 承継手続き期間中の資金繰りを安定させる診療報酬債権の活用法
中小病院を取り巻く事業承継の現状
中小病院の多くで経営者の高齢化が進み、後継者不足が大きな課題となっています。
厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(令和2年)」によると、病院の開設者や法人代表者の平均年齢は64.7歳です。また、株式会社帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2024年)」によると、医療業の後継者不在率は61.3%に達しています。
以前は親族内の医師が跡を継ぐ形が一般的でしたが、現在は勤務医志向の高まりなどにより親族承継が難しくなっています。後継者が見つからないまま放置すると、地域の医療提供体制を守ることが難しくなり、閉院に追い込まれる恐れもあります。
こうした背景から、他の医療法人や事業者に病院の運営を引き継ぐ「M&A(エムアンドエー)」を選択する医療機関が増えています。M&Aとは、かんたんに言うと病院の経営権や事業を他の法人へ引き継ぐ手続きのことです。地域の医療体制や職員の雇用を守りながら、無理のない引退を実現する選択肢として注目されています。
病院の譲渡・承継を検討すべき適切なタイミング
病院の譲渡や承継は、経営者の体力や気力に余裕がある早い段階から検討することが重要です。
一般的に病院のM&Aは、譲受先の選定から契約の成立、行政手続きの完了までに1年から2年程度の期間を要します。経営が悪化してから探し始めると、買い手となる法人が見つかりにくくなり、希望する条件での譲渡が困難になります。
適切なタイミングを判断する目安としては、以下の3点が挙げられます。
1つ目は、院長の年齢が65歳から70歳前後の時期です。気力や体力が充実しているうちに準備を進めれば、引継ぎ期間中の診療体制も安定して維持できます。
2つ目は、病院の業績が安定している時期です。黒字を維持している段階のほうが、引き継ぎたいと考える医療法人に出会いやすく、良い条件で交渉を進めやすくなります。
3つ目は、大規模な医療機器の更新や建物の建て替えが必要になる前です。高額な設備投資を行う前に承継を決定できれば、投資負担を譲受側に委ねることができます。
医療機関のM&Aで発生する手続きと資金面の課題
病院の承継手続きを進める期間中は、予期せぬ出費が重なり、資金繰りが一時的に不安定になりやすい特徴があります。
医療法人の譲渡には、出資持分の譲渡や事業譲渡といった手法があります。事業譲渡を選択した場合は、都道府県への開設許可申請や地方厚生局への保険医療機関の指定申請など、複雑な行政手続きが必要です。これらの認可や手続きには数か月の時間を要することが一般的です。
承継を進める際には、デューデリジェンスへの対応費用が発生します。デューデリジェンスとは、かんたんに言うと買い手が病院の財務状況や法律上のリスクを細かく調べる専門的な調査のことです。公認会計士や弁護士などの専門家に支払う報酬は、譲渡側にとっても一定の金銭的負担となります。
さらに、承継の準備を進めている段階で職員の退職金支払いや、老朽化した機器の修繕費用が急に発生することもあります。手続きの完了までには時間がかかるため、手元資金に十分なゆとりを持たせておく準備が欠かせません。
承継期間中の資金繰りを支える診療報酬債権の買取
病院の承継手続きを進める間の運転資金を確保する方法として、診療報酬債権の買取サービス(ファクタリング)があります。診療報酬債権とは、かんたんに言うと支払基金などから2ヶ月後に振り込まれる医療費を受け取る権利のことです。
当社が提供するサービスは、医療機関が保有する診療報酬債権を買い取る「債権の売買(譲渡)契約」であり、融資や借入ではありません。そのため、負債を増やすことなく手元の資金を増やすことができます。
診療報酬債権を活用する仕組みの特徴は以下の通りです。
- 手数料は3%から(医療機関の条件により変動し、事前のお見積りで明示します)
- 掛け目は90%程度
- 買取上限額は保険請求額の最大6ヶ月分
- ご契約後は最短3営業日でお振込み
- 対象は病院・クリニック・歯科(調剤薬局や介護事業所は要相談)
- 償還請求権なし・買戻し義務なし(譲渡した債権の回収リスクは当社が負います)
- 担保や連帯保証人は不要(当社は貸金業者ではありません)
- 買取手数料は消費税法上、非課税取引となります
契約方式は、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会への債権譲渡通知を行う「3者間方式」を採用しています。患者様や一般の取引先へ通知が届くことはありませんので、承継交渉中も普段通りに診療を続けられます。
詳しい利用条件や費用につきましては、手数料と買取条件のページで確認できます。
参考事例
※想定事例であり、実在の医療機関の事例ではありません。
地方都市で一般病床40床を運営する医療法人A病院(院長70歳)の事例です。後継者が不在であったため、隣町の医療法人グループへの事業承継を進めることになりました。
背景
M&Aの基本合意書を締結し、デューデリジェンスや行政手続きを進めていました。しかし、認可手続きに約半年かかる見込みとなり、その間に職員の退職金支払いと専門家への仲介・調査費用の支払いが重なりました。金融機関からの新たな融資を受けると負債比率が上がり承継条件に影響するため、借入以外の方法で手元資金を補う必要がありました。
やったこと
A病院は、当社の診療報酬債権買取サービスを活用することにしました。翌月に入金予定となっていた社会保険診療報酬支払基金宛ての診療報酬債権2,000万円分を当社に譲渡しました。
数字(試算式)
- 債権額:2,000万円
- 前払い受取額(契約後、最短3営業日で受取):
20,000,000円 × 90% = 18,000,000円
- 買取手数料(手数料率3%の場合・非課税):
20,000,000円 × 3% = 600,000円
- 残金受取額(支払基金からの入金後):
20,000,000円 − 18,000,000円 − 600,000円 = 1,400,000円
- 受取合計額:
20,000,000円 × 97% = 19,400,000円
結果
お申込みから最短3営業日で1,800万円の前払い資金が口座へ入金されました。この資金によって職員への退職金と専門家報酬を遅滞なく支払うことができました。借入を行わなかったため財務諸表を悪化させることもなく、半年後に予定通りスムーズな事業承継を完了できました。自院の請求額に応じた調達額は、資金調達シミュレーターですぐに計算できます。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
中小病院が円滑な譲渡を成功させるための注意点
中小病院が承継を成功させるためには、事前の情報整理と関係者への配慮が不可欠です。
まず、病院の資産と負債の状況を正確に把握しておく必要があります。帳簿に記載されていない簿外債務や、未払いの残業代などがあると、譲受先との交渉が破談になる原因になります。早めに税理士や専門家に相談し、財務の健全性を高めておくことが大切です。
次に、現場で働く医療スタッフへの配慮が欠かせません。承継の噂が早期に広まると、看護師やコメディカルの離職につながり、診療体制を維持できなくなるリスクがあります。情報開示のタイミングは慎重に見極め、基本合意に至った段階で丁寧に説明を行う必要があります。
また、承継手続き中も日常の運転資金を切らさない計画を立てておくことが求められます。不測の事態に備えて、複数の資金調達手段を確保しておくと落ち着いて手続きを進められます。手続きや資金面でご不安な点がある方は、無料相談フォームよりお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Q1. 赤字経営の病院でも診療報酬債権の買取は利用できますか?
ご利用いただけます。当社サービスは借入ではなく債権の売買ですので、審査では医療機関の過去の決算数値だけでなく、請求している診療報酬債権の実態に応じて判断いたします。まずは現在の請求状況をお知らせください。
Q2. 譲渡の相談をしている金融機関や取引先に知られる心配はありませんか?
通知されることはありません。当社の3者間方式では、債権の譲渡通知を送付する先は社会保険診療報酬支払基金および国保連のみです。患者様、お取引先、主幹事の銀行などに通知が届くことはありません。
Q3. 地方厚生局への申請中に資金調達を行うことは可能ですか?
原則として可能です。現時点で有効な保険医療機関の指定を受けており、支払基金等への請求実績がある期間の債権であれば買い取りの対象となります。手続きの進捗状況をお伺いした上で適切に対応いたします。
Q4. 診療報酬債権の買取手続きにはどれくらいの日数がかかりますか?
必要書類が揃い、ご契約を締結した後は、最短3営業日で指定の口座へ買取代金をお振込みいたします。承継手続きに伴う急な支払いが必要になった場合でも、迅速な資金化が可能です。
まとめ
中小病院の事業承継やM&Aを円滑に進めるためには、早期の計画立案と資金面の準備が重要です。
後継者不在のまま先延ばしにすると、選択肢が狭まり、地域医療の継続が危ぶまれる事態になりかねません。経営に余裕がある早い段階から検討を開始し、信頼できる専門家とともに進めることが成功の秘訣です。
承継手続きの期間中に発生する一時的な資金不足に対しては、負債を増やさない診療報酬債権の買取が役立ちます。手元資金を安定させ、地域に根ざした大切な病院を次の世代へスムーズに引き継いでいきましょう。
診療報酬債権の買取について、無料でご相談いただけます
手数料3%〜・掛け目90%程度・最短3営業日。いくら、いつ受け取れるかを具体的にお見積りします(審査あり)。

