清掃・警備・設備保守などの施設管理費を見直す手順を解説。固定費の内訳の作り方、仕様と頻度の点検、複数社比較のコツ、修繕への備え方まで、自院ですぐ始められる形でまとめます。
この記事でわかること
- 施設管理にかかる固定費を、契約ごとに一覧化して見直す具体的な手順
- 「金額」ではなく「仕様と頻度」から見直すべき理由
- 突然の修繕に備えるための、資金面の準備のしかた
固定費は「気づきにくい支出」です
結論から言うと、清掃・警備・設備保守などの施設管理費は、見直しの効果が出やすい一方で、誰も見直さないまま何年も続きやすい支出です。
理由は単純で、毎月同じ金額が自動的に引き落とされるからです。医薬品の仕入れは金額が動くので目に留まりますが、固定費は動かないので気づきません。開院時に決めた契約が、診療体制や患者数が変わったあともそのまま残っている、というのはよくある話です。
一方で、施設管理は「安ければよい」という支出ではありません。医療機関の清掃は院内感染の防止に直結し、警備は患者さんと職員の安全に関わります。削るのではなく、必要な水準を保ちながら、支払いの中身を実態に合わせるという発想が大切です。
手順1:契約を一覧にして「見える化」する
まずやることは、施設に関する契約を全部書き出すことです。次の項目を1枚の表にします。
| 記入する項目 | 具体例 |
|---|---|
| 契約名 | 日常清掃、定期清掃、警備、消防設備点検、空調保守 |
| 契約先 | 業者名 |
| 月額・年額 | 税込・税抜を統一して記入 |
| 仕様・回数 | 週何回、1回何時間、対象範囲 |
| 契約期間 | 開始日、更新日、自動更新の有無 |
| 解約の予告期間 | 何ヶ月前までに申し出るか |
医療機関でよくある契約は、日常清掃・定期清掃(床のワックスなど)・寝具リネン・医療廃棄物の処理・警備・消防設備点検・自家発電設備点検・空調保守・エレベーター保守・給排水設備の管理・害虫駆除・植栽の管理などです。
この表を作るだけで、「更新日を過ぎて自動更新されていた」「使っていない設備の保守契約が残っていた」といった発見があります。法令で義務づけられている点検(消防設備点検など)と、任意の契約を分けて印をつけておくと、あとの判断が早くなります。
手順2:金額ではなく「仕様と頻度」を点検する
一覧ができたら、値段の交渉に入る前に仕様を確認します。見るポイントは3つです。
① 対象範囲は今の使い方と合っているか
使わなくなった部屋、閉じた病棟、移転した部門が清掃範囲に残っていないか。逆に、患者さんの動線が変わったのに範囲が更新されていないこともあります。
② 回数は適切か
待合室と処置室では必要な頻度が違います。一律で週3回にするのではなく、区域ごとに必要な水準を決めます。感染対策上、頻度を下げてはいけない区域があることに注意してください。
③ 職員がやっている作業と重複していないか
契約に含まれているのに職員が手作業でやっている、あるいはその逆がないかを確認します。重複していれば、どちらかを整理できます。
仕様を実態に合わせた時点で、金額が下がることは珍しくありません。ここまでやったうえで、複数社に同じ仕様書で見積りを依頼すると、はじめて条件を横並びで比べられます。仕様がバラバラなままの相見積りは、比較になりません。
手順3:修繕に備える
施設管理でいちばん資金繰りを揺らすのは、毎月の固定費ではなく突発的な修繕です。空調の故障、給排水のトラブル、エレベーターの不具合、外壁や屋上防水の劣化。どれも予告なく来て、まとまった金額になります。
備え方は2つです。
- 計画をつくる — 主要な設備の設置年と耐用年数を一覧にし、更新時期を先に見込んでおく。設備台帳を作るだけで、いつ何が必要になるかが見えます。
- 資金の逃げ道をつくる — 突発的な支出に備え、使える手段を事前に確認しておく。
2つめについて、診療報酬債権の買取は、この「逃げ道」のひとつになります。かんたんに言うと、2ヶ月ほど先に支払基金・国保連から入る診療報酬を、当社が先に買い取ってお支払いするしくみです。借入ではなく債権の売買のため、修繕のために銀行の借入枠を消費せずに済みます(審査はあります)。設備の突発的な故障は、見積り取得から工事完了までが早く、支払いも一括になりがちです。設備台帳に「更新時期」と「概算費用」の欄を足しておくと、必要な資金の月数を先に見積もれます。条件はサービスの仕組みとご利用条件・手数料をご覧ください。
グループの施設管理サービスという選択肢
見積りを比べる相手を増やしたいときや、複数の契約をまとめて整理したいときは、外部に相談する方法もあります。
当社Central Medienceのグループには、医療機関の清掃・メンテナンスを担うクリーンアンドガードがあります。医療現場特有の衛生管理の要件を踏まえた清掃と、施設管理の実務を扱っています。
複数の契約が別々の業者に分かれていると、管理の手間もかかります。まとめられるものをまとめると、金額だけでなく事務の負担も軽くなります。資金の手当てと支出の見直しを並行して進める考え方は、経営改善までのロードマップで詳しく説明しています。
参考事例
※想定事例です。実在の医療機関の事例ではありません。
K病院(想定・60床)の背景
月の保険請求額は約6,000万円。施設管理の契約は7社に分かれ、月額の合計は約190万円。開院から10年以上、内容を見直したことがありませんでした。
やったこと
- 契約を1枚の表に一覧化。使っていない旧病棟が清掃範囲に残っていたことが判明。
- 区域ごとに必要な清掃頻度を決め直し、仕様書を作成。
- 同じ仕様書で複数社に見積りを依頼し、契約を4社に整理。
- 主要設備の設置年を台帳にまとめ、5年先までの更新計画を作成。
- 想定より早く空調の更新が必要になり、当社の買取で1ヶ月分の資金を確保。
数字(目安)
- 見直し前: 190万円 × 12ヶ月 = 2,280万円
- 見直し後(仮に月168万円まで下がったとして): 168万円 × 12ヶ月 = 2,016万円
- 年間の差: 2,280万円 − 2,016万円 = 264万円
- 空調更新時の買取(月6,000万円の1ヶ月分、掛け目90%として): 6,000万円 × 90% = 5,400万円を先に受け取り、手数料は仮に3%として 6,000万円 × 3% = 180万円
結果
固定費が下がり、突発的な修繕にも借入枠を使わずに対応できました。清掃の水準は区域ごとに定め直したため、感染対策上必要な頻度は維持しています。実際の手数料・条件は審査により個別に決まります。
※ 上記は理解を助けるためのモデルケース(想定事例)であり、実在の医療機関の事例ではありません。掛け目・手数料・日数は目安で、実際は審査により個別に決定します。
まとめ
- 施設管理費は自動的に支払われるため気づきにくく、何年も見直されないまま残りがちです。
- 見直しは金額ではなく契約の一覧化から。対象範囲・回数・職員作業との重複を点検します。
- 同じ仕様書で複数社に見積りを取ってはじめて、条件を横並びで比較できます。
- 設備台帳と更新計画を作り、突発的な修繕への資金の備えも並行して用意します。
固定費と資金繰りをあわせて相談したい方は、お問い合わせからご連絡ください。
よくある質問
Q. 清掃の回数を減らすと、感染対策に影響しませんか?
一律に減らすことはおすすめしません。処置室や汚物処理室など、頻度を維持すべき区域と、待合室や事務室など見直しの余地がある区域を分けて考えます。判断は院内の感染対策担当と一緒に行ってください。
Q. 契約の途中でも見直せますか?
契約書に定められた解約の予告期間と違約金の有無を先に確認してください。すぐに変えられない場合でも、更新日の3〜6ヶ月前から準備を始めれば、次の更新に間に合います。
Q. 修繕費のために診療報酬債権の買取を使う場合、いくらまで使えますか?
保険請求額の最大6ヶ月分まで対応可能です。実際の金額は請求実績と審査によって決まります。目安はシミュレーターでも確認できます。
診療報酬債権の買取について、無料でご相談いただけます
手数料3%〜・掛け目90%程度・最短3営業日。いくら、いつ受け取れるかを具体的にお見積りします(審査あり)。

